境港市の財政状況へ

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平成15年3月5日



施政方針要旨

今期、定例市議会において、平成15年度予算をはじめとする諸議案をご審議願うにあたり、所信の一端を述べるとともに、当面する課題について申し上げ、議員各位並びに市民の皆様の一層のご理解とご協力をお願いする次第でございます。

我が国では、深刻なデフレ状況に直面し、終わりの見えない経済の長期低迷の下、経済活動と国民生活に大きな影響が生じております。
また同時に、少子高齢化が一層加速するなどの社会情勢にあって、新たな時代に対応する組織の構築や抜本的な制度改革が余儀なくされております。

国の財政は、構造的に危機的状況にあり、地方においても、大変厳しい財政難に陥っている中、市町村においては、もはや、国や県から従来どおりの支援は期待できない状況であります。
これからは、地方自立に向け「自分たちの町づくりは自分たちで」、という気概を持って行政運営に望まなければ、市町村の存続自体が危ぶまれる時代がやってきております。

さて、昨年12月に単独での存続を選択した市長として、現在、私に与えられた職責は、市民が安心して将来設計ができる環境を整備することであり、厳しい状況下ではありますが、安定した市政の運営を図っていくための基礎作りをしていかねばなりません。

境港市の目指すべき将来都市像は、「魅力あるふるさと・心豊かで活力あるまち境港」であります。
今後とも、その理想を目指して、市政に取り組んでいかなければならないと考えております。

それには、まず市行財政全般における大改革を行う必要があります。
私をはじめ市職員自らが率先して、その姿勢をお示しし、市民の皆さんと協働して、ともに困難を克服していきたいと思っております。

行財政運営について

○平成15年度予算
本市財政の現状並びに将来見通しを勘案いたしますと、歳入の根幹を占める市税及び地方交付税の減収が見込まれる、誠に厳しい状況ではありますが、基金の取り崩しや市債の発行を極力抑制するなど、将来を見据えた慎重な財政運営が求められております。

このような中で本市の平成15年度予算につきましては、人件費の抑制をはじめとする行政経費全般について徹底した削減を図り、市債や基金の取崩しに依存しない財政体質への転換に努める一方、市民生活に身近な分野へ重点を置いて編成したところであります。


○行政改革
本市では、単独での存続を踏まえ、行政改革大綱及び市町村合併説明会でお示しした資料に基づき、人件費の削減をはじめ、事務事業の見直し、外郭団体の整理合理化、住民負担の見直しなど、数値目標等を設定し、市民にそれを公表して、財政健全化を目指すことといたしております。
これらの行政改革を進めることによって、平成15年度においては、約5億9千万円の財源を創出することができます。
とりわけ、職員給与の減額等、人事・給与制度の見直しにつきましては、職員にもご理解をいただいておるところでございます。

市民福祉の充実について

○少子化対策
園児数の減少に伴う乳幼児保育施設の再編を図るため、保育所敷地内に幼稚園を移転新築し、幼保一元化を目指した運営を図ります。
併せて、現在のはなぞの幼稚園舎には、境港市児童発達相談センター、子育て支援センター及びファミリーサポートセンターを、新たに(仮称)境港市こども支援センターとして組織整備し、安心して子育てのできる支援態勢の強化を図ります。

また、少子化時代にあっても、需要が高まっている3歳未満児保育に対応するため、「育成保育園」を新たに認可保育園とし、3歳未満児保育の需要に対処していくこととしています。


○高齢者対策
介護保険では、3年ごとに事業計画を見直すこととされており、去る2月27日には、老人保健福祉計画・介護保険事業計画策定委員会において、平成15年4月からの第2期事業計画案が了承されたところであります。
この計画では、今後も、在宅・施設サービスを計画的に整備していく一方、増大する介護費用に見合う介護保険料として、第1号被保険者の保険料基準額を年額4万6400円(月額にして3867円)に改定することを予定しております。

また、介護保険以外の高齢者福祉サービスについては、高齢者ふれあいの家事業をはじめとする介護予防・生活支援事業等を引き続き実施するほか、新たに生活支援ハウス運営事業等にも取り組み、これら福祉サービスと介護保険サービスとを併せて実施することによって、援助を必要とするお年寄りの生活を総合的に支えていく考えであります。


○障害者福祉の推進
障害のある方々の福祉サービスは、従来「措置制度」に基づき行政が決定しておりましたが、平成15年度からは、障害のある方が、自ら必要とされる福祉サービスを選択し、指定された事業者と直接契約を結ぶ「支援費制度」に変わります。
この制度では、市が支援の実施者となりますので、ホームヘルプ事業等の居宅生活サービスや施設入所サービス等について、事業実施に向けて準備を進めておるところであります。
また、知的障害児・者を、一時的に預かるなど家族の負担を軽減するための障害児・者家族支援事業も実施いたします。

産業の振興について

○水産業の振興
境漁港における平成14年の水揚げ量は、最終的に10万トンを突破し、僅かではありますが前年を上回り全国第10位、水揚げ金額も前年の2.7パーセント(約5億円)増となっております。
地元水産業界では、かつてのような水揚げが望めない中、漁業の再編をはじめ大量処理型から付加価値型の流通加工体制への構造転換が図られております。
市といたしましても、金融対策などで支援をしておりますが、引き続き水産関係者のご意見を伺いながら、水産振興のための方策を検討してまいりたいと考えております。
水産加工業の振興につきましても、鳥取県とも連携し、企業の経営基盤強化のための共同化を促進してまいりたいと考えております。

漁港改修事業につきましては、新港1号岸壁(通称:イカ岸壁)防風防暑施設工事など、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。


○農業の振興
本市の農家・農業団体は、長引く不況の中、中国産白ねぎとの競争に負けないよう、ブランド化、低コスト化を図っているところであります。
市といたしましては、『緑肥作物作付推進事業』等の産地維持対策を講じるとともに、経営基盤の弱い新規就農者に対しては、『就農基盤整備事業』の活用による農業経営の安定を図るとともに、現在、農家・農業団体が取り組んでいる『白ねぎ産地改革』を支援してまいりたいと存じます。

また、昨年、国は、『宍道湖・中海淡水化事業』の中止を表明いたしました。
平成15年度、国は『国営事業の変更及び廃止手続き』と淡水化に替わる『水源対策事業の調査』を行う計画であります。
市といたしましては、弓ヶ浜半島及び中海干拓地の水源対策が、十分なものとなるよう、国・県及び関係団体と協議を重ねてまいる考えであります。


○企業誘致
企業誘致につきましては、先月、大型量販店等の竹内工業団地への進出計画が明らかにされ、鳥取県企業局では、間もなくその是非を正式に決定されることとなっております。
これらの進出が実現すれば、雇用の面も含め、本市地域経済活性化にとって非常に大きなインパクトになるものと考えております。


○雇用対策
雇用対策といたしましては、緊急地域雇用創出特別基金事業を積極的に活用し、福祉・教育や観光の分野などを中心に、雇用の創出を図ることといたしております。


○観光振興
観光振興につきましては、「水木しげる記念館」が、今月8日開館いたします。
この記念館は、文化施設として位置づけられる一方、観光施設として、かなりの集客が期待されることから、この機会を民間の活力によって生かしていただきたいと存じます。
「水木しげる記念館」のオープンに伴い、市内への観光客の入込みが更に増加すれば、境港市のもう一方の観光の柱である「さかな」の直売施設にも大きな波及効果が期待されます。
今後も「さかなと鬼太郎」をキーワードとして、相乗効果のある観光施策を展開してまいります。

環日本海交流の推進について

○外国貿易
重要港湾境港における平成14年の貨物取扱量は、全体でおよそ450万トンと、前年比0.6パーセント減少いたしましたものの、外国貿易貨物については、3.4パーセント増加し、特にコンテナ取扱量は前年比21.7パーセント増の1万2687本と好調に伸び、貿易港として着実な成長を示しています。
今後もポートセールスに努め、港湾と空港の利用促進を図ってまいりますとともに、環日本海航路の開設など、航路の拡充に向けて取り組んでまいる考えであります。


○国際交流
中国・琿春市との交流につきましては、本年度が友好提携十周年を迎えることから、琿春市からの訪問団を受入れるなど、記念事業に取り組むこととしております。
また、中国・河南省との教育交流とともに青少年の交流を支援する取り組みを、今後も引き続き行ってまいりたいと考えております。
国際交流は、これまで官主導で大きな成果を上げてまいりましたが、今後は、民間レベルでの幅広い交流を願う思いがございまして、民間主導へのシフトを検討する時期に来ていると考えております。

港湾と空港を有する本市の特性を十分に生かし、交流から生まれる活力を創出することは、本市が地域のなかで独自性を発揮しながら発展していくための重要な課題であると認識しております。
対岸諸国との交流を更に進め、世界に拓かれたまちづくりを進める所存でございます。

環境・防災について

○環境対策
昨年3月に策定した「境港市環境基本計画」に基づき、環境への負担を少なくする、循環型社会を目指した取り組みを進めているところですが、新年度より、事業系のごみ処理などの有料化と可燃ごみの指定袋制を導入して、一般廃棄物の一層の減量化とリサイクルに取り組んでまいります。
また、使用済み食用油を燃料に再生するプラントが、清掃センターに完成いたしましたので、貴重なバイオマスエネルギーの一つとして、今月中にはごみ収集車の燃料としての利用を始める予定であります。


○防災対策
鳥取県西部地震の復興対策事業につきましては、関係機関や市民の方々のご協力をいただきまして、ほとんどの事業を無事完了することが出来ましたので、平成12年11月より設置している、境港市の災害復興本部は今月末で廃止したいと考えております。
今後とも、防災行政無線の更新や自主防災組織の育成など、鳥取県西部地震の教訓を生かしたまちづくりを推進してまいります。

都市基盤整備について

○境港新都市土地区画整理
境港新都市土地区画整理事業は、平成15年度末には、一部の造成工事を残して、ほとんどの工事が終了する見込みであり、予算ベースで約95パーセントの事業進捗率となります。
今後は、土地開発公社用地及び保留地の分譲促進に向け、努力してまいる所存であります。
また、中浜港の整備につきましては、健康シティ夕日ケ丘の魅力アップを図るためにも、引き続き国、県とともに事業の促進に努めてまいりたいと存じます。


○米子空港滑走路延長事業
米子空港滑走路延長事業及び関連プロジェクトであります県道米子境港線の迂回、JR境線の地中化につきまし
ては、現在実施設計調査並びに環境影響評価等の法手続きが進められております。
この法手続きが完了いたしますと、平成20年の完成に向けて、本格的に事業に着手する計画となっております。
 また、地元要求に基づく地域振興計画につきましては、引き続き会館の増改築や市道の整備等、行ってまいりたいと存じます。


○港湾整備
境港の港湾整備につきましては、多目的国際ターミナルとなる5万トン岸壁が、平成15年度中に整備を終え、平成16年度早々の供用開始を目指しており、江島架橋につきましても、平成15年度末の完成に向けて最大限の努力がなされているところでございます。

教育の振興について

○学校教育
学校教育に関して申し上げますと教育活動の活性化を図るために、「開かれた学校づくり」を本年度に引き続き、一層推進してまいります。
地域社会に対しての学校公開はもとより、積極的に情報提供、情報発信をしていくとともに、保護者や地域のニーズを的確に捉え、学校、保護者、地域社会が信頼関係のもとに、役割分担と相互連携が図れるよう努力していきたいと思います。


○教育環境の整備
ソフト面につきましては、本年度に引き続き、小学校低学年の30人学級を実施し、一人一人に目の行き届いた指導を行っていく予定です。
また、特別に支援の必要な子どもに対しては、市内各小中学校に「指導補助員」を配置し、個に応じた指導を図ってまいります。

ハード面の整備については、上道小学校冷暖房設備改修工事など教育環境の質的向上を目指します。
給食施設については、新年度より、渡小学校において、最新の電化厨房とドライシステムによる給食づくりをはじめます。



以上、本市を取り巻く状況並びに平成15年度の市政運営の基本方針、主要施策につきまして、その概要を申し述べました。

具体的な施策につきましては、予算案、その他の議案の提案理由を申し上げますので、何とぞご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。


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