平成20年度当初予算編成方針
本市の財政事情
本市の景気動向は、企業部門の好調さを反映した都市部の事情とは異なり、いまだ個人所得や企業業績は伸び悩んでいる状況である。したがって、歳入面では、その根幹をなす市税収入は、横ばい傾向である。また、地方交付税と臨時財政対策債は、近年削減傾向が続いている。
一方、歳出面では、他自治体に先駆けて断行している徹底した行財政改革によって、相当レベルの歳出圧縮が達成できているものの、平成23年度までは高水準で推移する公債費を抱え、弾力性の低い財政構造では、社会保障関係経費の毎年度増額分を吸収しきれない状況である。また、平成20年度から平成23年度の間は、いわゆる団塊世代の職員の大量退職に伴う財政需要もあり、厳しさは一層増すものと考えられる。
予算編成の基本的な考え方
上記の財政事情に加え、平成20年度からは、下水道事業費特別会計において、今後の公債費負担額の適正規模への収束を目的とし、赤字補填的な色彩の濃い市債の借入を圧縮する方針である。したがって、同会計への繰出金が嵩み、一時的にだが市財政をさらに圧迫するものとなる。
このような財政状況を踏まえると、各分野の市民サービスにおいては、現サービスの事業効果の再点検を行った上で、必要なサービスの維持と効率化に一層努めなければならない。また、基本的に新たなサービスへの対応は、費用対効果の低い事業とのスクラップアンドビルドによらねばならない。
しかしながら、市民生活に直結する必要不可欠な社会資本の整備や改修などには、基金の取り崩しにより対応することとなる。
長期的視点の必要性と中期財政計画の策定
本市では、毎年度の予算編成への長期的視点導入を目的に、時代背景や社会状況の変遷を踏まえ、本市の過去の分析や近未来の見通しなどから課題を抽出し、これらの解決に向けた今後の方針等を定める、「中期財政計画(計画期間:平成20〜24年度)」を策定することとしている。
具体的な方針
- 市債借入額の抑制
今後の公債費負担額を適正な規模へと収束を図るため、市債借入上限額を設定する。
平成20年度の上限額は、一般会計においては7億円、下水道事業費特別会計においては5.6億円とする。 - 公社等を含めたトータルでの収支均衡
本年6月「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」が公布され、市のすべての会計に土地開発公社などを加えた「連結ベース」での財政状況により、その健全化を判断することとされた。
境港市土地開発公社は、売却用地は保有するものの多額の債務を抱えている。また、土地区画整理事業費特別会計においても、保留地の処分が進まないことによって、一時的に赤字が見込まれる。
境港市土地開発公社の債務に区画整理事業費特別会計の赤字見込み額を加えた規模と同程度の基金を保有すべきと考え、基金の取り崩しは、最小限にとどめる。 - 枠配分方式による予算編成の継続実施
今年度も全体事業を投資的事業(B経費)とその他事業(A経費)に二分することに変わりはないが、基本方針でふれたとおり、下水道事業費特別会計での市債の借入を2億円減額することから、下水道事業費特別会計への繰出金が相当額嵩むため、配分方法を以下のとおり変更している。
まず、昨年度予算編成の際にA経費の要求として配分枠内に納められた一般財源の額を基本額とする(枠外事業分は含まない。)。
次に、この基本額に、特殊事情を勘案し、人件費相当額を除外した額を各部の一般財源として配分するが、厳しい財政事情から、配分額については、固定経費(義務的な経費)へ充当する一般財源を除いた額を2%カットする。
B経費及び枠外事業への対応については、一般財源の配分額の残額と基金の取り崩しによることとなる。
なお、A経費の事業については、優先度・重要度が高いものから[1]〜[4]と4区分し、B経費については、先に行った概算要求のうち投資的事業をベースに事業の選択をする。 - 当初予算要求に際し、部内調整の強化
部内での連携・情報交換を密にしていただき、部内調整を強化していただきたい。
日程例)
ア 各部予算編成会議(直ちに:部内の取りまとめ課、部内提出期限の決定)
イ 各課予算要求書の提出(11/22頃:部内取りまとめ課へ)
ウ 部内調整査定(11/27頃:部内の取りまとめ担当課が部内各課予算を仮査定)
エ 部長調整(11/28頃)
オ 財政課提出(11/30)
※ 取りまとめ担当課長が、部内各課に各課の特殊事情等を勘案した上で要求額の努力目標などをあらかじめ設定することなどが好ましい。 - 各部要求は市全体で最終調整
(1) 配分枠内に収められた各部の要求は、尊重されるものの以下の理由等から、最終調整を行う旨ご理解をいただきたい。
ア)各部の要求は、最終的には市全体を見渡し、市長が最終調整(施策の優先順位化等により各部間・枠内外事業の入替え、各部間の均衡性を考慮する等)を行う。
イ)国・県等の制度改正等により、各部に配分した一般財源総額の見込みに大きく変更があった場合、それを補てんするための調整を行う。
(2) 配分枠に収まらなかった事業については、枠外要求として要求書を提出するとともに、部内で優先順位をつけた枠外事業一覧表を提出すること。
原則、A経費事業区分[4]の事業とする。 - 制度改正等への対応
要求書提出後、国・県等の補助金、負担金の廃止・縮減等、大幅な制度改正等があったものについて、国・県等から各主管課に制度改正等の通知があった時点で、直ちに、財政課に連絡し必要な調整を図ること。
また、人件費の取扱いについては、各課は総務課支持額を要求書に計上し、その後、労使合意により、人件費額に変更があった場合は財政課が調整を行うこととする。 - 要求の姿勢
予算の要求にあたっては、平成18年度決算内容の分析を行い、不用額の状況等を十分に検証し、真に必要な最小限の経費を見積もること。
- 予算編成過程の公開
予算編成方針をはじめ、予算編成過程における情報をホームページで公開することとする。
予算要求基準
- 歳 入
市税 ・税制改正の内容、経済動向、課税客体等を的確に把握し、予算割れすることがないよう、確実と見込まれる収入を見積もること。
国県支出金 ・国・県の予算編成の動向を注視し、十分精査の上、適切な導入に努めること。
使用料及び手数料 ・受益者負担の原則により、他市や近隣市町村の状況を把握の上、均衡を失するものは負担の適正化を図ること。
財産収入 ・現況を把握し、処分可能なものについては、適宜、処分に努めること。
市債 ・概算要求事業以外は原則認めない。市債を計上する課は、充当率等、必ず財政課に確認・協議すること。 - 歳 出
人件費 ・給料、職員手当、共済費については、別途総務課提示額を計上すること。
事業課は、極力事業費支弁人件費を確保すること。物件費 ・委託料については、積極的に民間委託を進めるものであるが、委託理由(直営不可業務・委託が直営よりも安価となる等)を確認すること。
・食糧費は原則認めない。
・印刷製本費は自作を原則とし、自作不可能なものについてのみ計上する。
・旅費(県内)は原則公用車使用とする。
・嘱託職員については、総務課提示額とする。補助事業の対象となるものについては、事前に総務課と協議すること。
扶助費 ・制度改正等の把握に努めること。
・対象者等の伸びについては決算時点で過不足が生じない最小限度に留める為でき得る範囲での検討を行うこと。
補助費等 ・行政改革大綱に従い引き続き見直しを行うこと。
・西部広域負担金については、別途指示額とする。
投資事業費 ・概算要求事業を再検討し、緊急性、必要性、投資効果や将来の財政負担を十分に考慮して要求すること。
維持補修費 ・現地調査を行い、緊急度を考慮して要求すること。

