市政概要報告要旨(平成23年9月7日)

平成二十三年九月定例市議会にあたり、市政の概要について申し上げます。

環日本海交流について

国際フェリー航路の利用客は、東日本大震災以降、一時期減少しましたが、現在は震災以前の状況に戻り、航路が開設されてから本年八月末までの境港市と東海市間の旅客数は、延べ五万九千五百四十二人となっております。
八月上旬には、市内の少年サッカーチームがウラジオストク市と東海市を訪問し、サッカー交流を行いましたが、市内の高等学校においても、今後、韓国でのスポーツ交流を行う予定と伺っており、この「海の道」を利用した環日本海諸国との交流活動が拡大していくことを期待しております。
また、航路がより身近な存在と感じられるように、七月、八月には市民を対象とした船内見学会を行い、延べ六百四十人の参加をいただいたところであります。

貨物につきましては、増加傾向にあるものの、航路が開設されてから本年六月までの境港における取扱貨物量は、延べ一万二千二百八十七トンと全体量の二割程度にとどまり、貨物誘致は喫緊の課題として認識しております。
このような中、八月には、首都圏の企業を対象に、境港の利用促進活動を行ったところでありますが、安定運航の継続により、韓国産パプリカの輸入やロシアへの牡丹の輸出が昨年に続いて行われたほか、ロシア・ボリショイサーカス団の来日に伴う動物輸送などの利用もなされたところであります。
今後も、韓国・ロシアと日本を結ぶ唯一の国際フェリー航路の優位性を生かし、鳥取県や中海市長会をはじめ関係機関と連携して貨物の確保に取り組んでまいります。
また、八月二十五日、二十六日の二日間にわたり、鳥取市で「第十七回環日本海拠点都市会議」が開催されました。
会議では、環日本海圏域の一体的な発展方策について意見交換を行い、国際フェリー航路や米子―ソウル便など交通ネットワークを活用した圏域の連携強化をはじめ、会員都市間の更なる交流促進について合意したところであります。

観光振興について

本年の「水木しげるロード」の観光入込客数は、昨年の「ゲゲゲの女房ブーム」が一段落したことや、六月に高速道路料金の上限千円が廃止されたことなどの影響が懸念されたものの、八月末時点では、対前年比一〇二%と、過去最高を記録した昨年を上回り、依然として好調に推移しております。

「水木しげる記念館」の入館者数は、対前年比八十四%と昨年を下回っています。しかしながら、八月に新たな試みとして開催した「ナイトミュージアム」には、募集人数を上回る参加申込があり、今後の新たな魅力としての手ごたえを感じているところであります。
また、平成二十四年三月に予定している、開館以来最大規模となるリニューアルオープンに向け、鋭意準備を進めているところであります。

三月に策定した「境港市観光振興プラン」につきましては、三十二項目の重点施策のうち、本年度中に十九項目を実施する予定としております。水木しげるロードの夜間集客対策であるブロンズ像のライトアップや、ロードと竹内団地を結ぶシャトルバスの運行などはすでに実施し、夏休み期間中の集客や利便性の向上に成果があったものと考えております。
今後も、観光振興プランに沿った様々な施策を積極的に展開し、更なる観光振興を図ってまいりたいと考えております。

水産業について

平成二十三年上半期の境漁港における水揚量は、二月のスルメイカ、五月のマイワシの豊漁もあり、七万一千五百トン余で、対前年比百三十六%、水揚金額は、百億二千五百万円余で、百三十五%といずれも前年を大きく上回っている状況であります。
また、夏の風物詩でもあるクロマグロ漁は、本年から始まった総漁獲量の自主規制枠を守りながらも、水揚量は一千六百トン余、水揚金額は二十億四千七百万円余で、いずれも前年の二倍以上となっております。
このような中、七月三日には境港天然本マグロPR推進協議会による「第一回まぐろ感謝祭」が開催され、境港に水揚げされたクロマグロを「天然・生・日本海」をキャッチフレーズに、広くPRするなど、知名度向上と消費拡大に向けた取り組みが行われております。

また、十月二十九日・三十日に天皇・皇后両陛下をお迎えして鳥取市で行われる「第三十一回全国豊かな海づくり大会」には、鳥取県が誇る水産業の拠点港として、水揚げ日本一を誇るカニやマグロをはじめ、「みんなで選ぶ境港の水産加工大賞」での歴代受賞商品の展示販売を行うなど、官・民一体となって境港の水産業の魅力を発信することとしております。

商工業について

日銀松江支店によりますと、八月の山陰地方の景気は、「持ち直しつつある」とされていますが、鳥取県西部地区の雇用につきましては、七月の有効求人倍率が〇・五九倍と、依然として一倍を大きく割り込む厳しい状況が続いています。
このような中、来春卒業予定者についても厳しい状況が予想されるため、米子公共職業安定所長、境港総合技術高等学校長、鳥取県私立中学高等学校校長会の代表とともに、境港商工会議所を訪れ、高校生が地元で就職できるよう理解と協力をお願いしたところであります。

また、八月二十三日には、境港市西工業団地への進出企業である株式会社DSコーポレーションの工場の竣工式が行われ、九月五日には企業の認知度向上と事業提携先の開拓を目的とした説明会が開催されました。

株式会社DSコーポレーションは、本市及び鳥取県が積極的に誘致に取り組んだ企業であり、京都に本社を置くベンチャー企業・株式会社デュエラが、海外からも注目されている高い技術力を生かし、コスト競争力の高い製品を製造するために設立した現地法人であります。
今後大きな成長が見込まれ、境港の活用も期待されるなど、圏域経済の活性化・雇用の拡大につながるものと考えております。 

中海護岸整備について

中海護岸整備の一環として、国が実施する渡漁港の移設工事につきましては、用地測量や物件調査等を終えたことから、七月二十九日に国土交通省による用地買収説明会が開催されました。
 また、八月二十二日と二十三日には、漁港周辺の住民の方を対象にした事業説明会を改めて開催し、国土交通省からは漁港の整備内容や工事スケジュール等について、さらに境港市からは、漁港の移設に伴い本市が実施する市道の新設や内水排除対策、既存漁港の埋立て計画等について説明したところであります。
 
今後、国においては用地買収等を終えた後、十月以降には渡漁港北側地区の工事発注を予定されていると伺っております。
 本市におきましても、本年度には用地買収交渉等に取り組み、平成二十四年度の工事着手を目指したいと考えております。

境港の港湾整備事業について

国土交通省が選定する「日本海側拠点港」は、七月二十九日に募集が締め切られ、境港は、国際海上コンテナ輸送の拠点など五つの役割を掲げ応募いたしました。二十三港の応募があったと伺っており、この秋には指定港が公表される見込みとなっております。
「北東アジアに向けた西日本のゲートウェイ」を目指す境港市並びに近隣の圏域にとりまして、日本海側拠点港の指定は、圏域全体の将来を左右する極めて重大な事柄であると認識しております。地元の強い思いを国に伝えるため、八月八日には境港市、境港市議会、境港商工会議所、環日本海経済活動促進協議会をはじめ、中海市長会、鳥取県、境港管理組合とともに、要望活動を展開したところであり、関係機関が一丸となった拠点港指定への取り組みが、大きな実を結ぶことを強く願っております。

防災対策について

本市では、今回の東日本大震災を踏まえて、民間ビルなどを津波に対する緊急避難場所として指定させていただくため、所有者の方々に順次協力を依頼しているところであり、九月一日には、西日本電信電話株式会社鳥取支店とNTT境港ビルを緊急避難場所として使用する協定に調印しました。また、防災の日である同日に、全国瞬時警報システム(J―ALERT)の訓練放送も行ったところであり、さらに、九月二十三日には、津波に関する研修会を開催することとしております。
また、独自の検討に加え、現在、「鳥取県津波減災対策検討委員会」におきまして、新たな被害想定が検討されているところであり、この結果を改めて防災計画の修正に反映させるなど、鋭意防災対策の見直しに取り組んでいるところであります。

原子力災害対策につきましては、鳥取県、島根県、周辺自治体の広域的な取り組みである「原子力防災連絡会議」や、鳥取県の「避難計画策定プロジェクトチーム」に参加し、避難計画の策定等に連携して取り組んでおります。
中国電力株式会社との「(仮称)島根原子力発電所に係る安全確保等に関する協定」につきましては、鳥取県、米子市とともに「鳥取県原子力防災体制協議会」において、協定締結に向けた協議を進めているところであります。
なお、七月二十日には市民向けの原子力防災研修会を開催したところであります。

美保基地への次期輸送機配備について

航空自衛隊美保基地における次期輸送機(仮称)C―2の配備について、四月二十七日に中国四国防衛局長から鳥取・島根両県知事に対して事前協議の申し入れがあり、六月三日には、鳥取県知事から境港・米子両市長に対して配備についての意見照会がありました。
これを受け、本市においては、六月六日に、市議会並びに基地に隣接する中浜地区住民に対して、また、六月二十二日には、中浜地区以外の自治会に対して説明会を開催し、中国四国防衛局から次期輸送機の概要や、今後の配備計画などについて説明がなされたところであります。
次期輸送機は、現在、岐阜基地に試験配備されていることから、市議会においては七月十九日に、地元自治会においては八月二十六日に現地を訪れ、エンジン音や機体の大きさなどを直接体感されたところであり、私も地元自治会に同行させていただいたところです。
中国四国防衛局では今後、美保基地におけるデモフライトも検討していると伺っておりますが、次期輸送機の美保基地配備に関しては、市民の皆様の安全・安心な暮らしの確保が最優先と考えており、意見照会への回答につきましては、市民や市議会の意見、要望をしっかりと受け止めた上で、適切な判断をしてまいる所存であります。

学校教育施設について

第一中学校の耐震及び大規模改修工事並びに冷暖房施設改修につきましては、周辺住民の方々の理解と協力をいただきながら、工期の中心でありました夏休み期間を経過し、順調に進捗しております。
耐震改修と冷暖房施設改修につきましては概ね今月末、また、大規模改修につきましては十一月中に、完成予定であります。

また、学校給食基本方針(案)に対するパブリックコメントを実施いたしましたところ、「センター方式ではなく自校方式を望む」、「アレルギー食対応への低下を懸念する」などのご意見もいただきましたが、総合的に判断して概ね基本方針(案)のとおり実施することが適当であると考え、学校給食のセンター化、中学校給食の実施に向けた準備を進めてまいりたいと考えております。

社会教育について

第七回読書活動推進大会として、八月二十七日に「~赤ちゃんから大人まで本で楽しいひとときを~」をテーマに、市民図書館周辺で「境港市読書まつり」を開催しました。「読書の悦び」を伝える講演会やブックトーク、赤ちゃん対象のお話会など、多彩なイベントを集合させた市民参加型の大会となりました。
引き続き、子どもへの読み聞かせや家読(うちどく)等をはじめ、生涯を通じた読書活動を推進してまいりたいと考えております。

北前船「みちのく丸」の境港寄港にあわせ、七月十三日から約一ヶ月間、海とくらしの史料館で特別展示「北前船と境港~船が運んだもの~」を開催しました。水木しげる先生の曽祖父で廻船問屋を営まれた武良惣平氏に関する資料のほか、伯州綿や鋼など北前船ゆかりの品々を展示し、港とともに歩んできた本市の歴史について、広く知っていただく機会となったと思っております。

子育て支援について

四月に開設しました地域子育て支援センター「ひまわり」は、多くの方に利用していただいており、子育て世帯の新たな交流の場として定着しつつあります。また、子育てサークルや、子育て支援団体の活動も同施設で開催され、子育て支援の拠点施設としての役割を果たしているところであります。

保育所と幼稚園の合築園である外江と余子の二施設の民間事業者への移管につきましては、「境港市公立保育所民営化選考委員会」での選考結果を受け、移管先を「外江」は「有限会社育成」に、「余子」は「社会福祉法人境港保育会」に決定したところであります。
平成二十五年四月からの移管に向け、先月には、保護者と移管先事業者と市による「三者懇談会」を開催し、平成二十四年度に予定している引き継ぎのための共同保育などの協議を行いました。また、0歳から就学前の児童を受け入れる一貫保育施設に改修するための準備も進めているところであります。

高齢者福祉について

介護保険法の改正を踏まえ、平成二十四年度を初年度とする新たな三ヶ年計画として、「介護保険事業計画」と「高齢者福祉計画」を策定するため、八月三十日に計画策定委員会を発足させたところであります。
今後、本年実施した「日常生活圏域ニーズ調査」の分析結果や、給付と負担のバランスにも配慮しながら、国が示した基本指針をもとに、必要なサービス量の設定などを計画していくとともに、高齢者の誰もが可能な限り地域で継続して生活できるよう、介護や予防、医療、生活支援などのサービスを一体的に提供する「地域包括ケア」の充実に努めていく考えであります。

保健福祉について

近年、増加傾向にある子宮頸がん対策として、中学校一年生から高校一年生相当年齢までの女子を対象に、七月から予防ワクチンの接種を全額公費負担で開始しております。
実施に当たっては、事前に、ワクチン接種について理解を深めていただくとともに、子宮がん検診受診の啓発もかねて、産婦人科医師による講演会を開催したほか、中学校PTAの会合などで説明させていただき、順調に接種が進んでいるところであります。

がん検診につきましては、平成二十一年度から国の補助事業で「女性特有のがん検診推進事業」として、無料クーポン券による乳がんと子宮がん検診を実施しておりますが、本年度からは、大腸がんも加えて、新たに大腸がん検診の無料クーポン券を、四十歳から五歳刻みに六十歳までの方を対象に発行したところであります。従来から発行しております他の各種検診受診券とともに、定期的な検診等により、病気の早期発見、早期治療に役立てていただきたいと思っております。




以上、市政の概要についてご報告申し上げましたが、議員並びに市民各位の格段のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。



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