市政概要報告要旨(平成20年12月8日)

平成二十年十二月定例市議会にあたり、市政の概要について申し上げます。


平成二十年度の財政見通しについて

歳入におきましては、市税収入が、法人市民税と固定資産税の落ち込みにより、当初予算額を一億円程度下回るものと見込んでおります。
一方、地方交付税については、普通交付税が当初予算額を約二億一千万円上回る二十八億円余りの決定額といなり、また、年度末に額が決定する特別交付税は、ここ数年の傾向で前年度決定額からある程度の減額が予想されますが、当初予算額を下回るまでの落ち込みではなく、総額では、市税収入の減額を補うに十分な増額となると見込んでおり、一般財源ベースで考えますと、当初予算額を上回る額が確保できるものと考えております。
歳出におきましては、これらの収入状況を背景に、予定しております諸事業は順調に実施できるものと考えております。


平成二十一年度予算編成方針について

国においては、平成二十一年度予算編成の基本方針で、一部にはこれまでの財政再建路線を転換する考え方が示されましたが、「歳出の抑制」を基本とする概算要求基準は維持することとなっており、このことは地方財政全般に関しても同様であります。
本市の財政状況を見ますと、平成十五年度以来の行財政改革によって、一時期の危機的な状況からは脱したものの、根本的には多くの自治体と同様に、低調な歳入と社会保障関係経費など増加し続ける歳出のはざまで、恒常的な収支のアンバランスに苦慮しております。
平成二十一年度におきましては、歳入面で今年度の状況と同様、法人市民税の低調と固定資産税の評価替えによる大幅減が予想され、市税の当初予算額が相当な減額計上となることから、財政運営上、非常に厳しい年度であると言わざるを得ません。
このような中、国、地方全般、本市の財政状況を勘案しても、これまでの財政状況を好転させるような要素は見当たらず、少なくとも平成二十一年度における予算編成の基本的な考え方は、これまでの方針どおり、自立持続可能な財政基盤の確立に向け将来を見据えたものにすべきと考えており、第一に、昨年度策定した中期財政計画の財政運営方針を堅持することとし、一方では、市民生活に密着した諸施策の維持や喫緊課題への対応などについても、最大限の努力を行う考えであります。

環日本海交流の推進について

 環日本海定期貨客船の就航に向けては、境港管理組合において仮設旅客ターミナルが建設中でありますほか、環日本海経済活動促進協議会が中心となって、ロシア・ウラジオストクの市場調査をはじめ、ロシア極東ビジネスセミナー、ロシア企業との商談会など、積荷の確保等に向けた積極的な取り組みが行われているところであります。
航路を運営するDBSクルーズフェリー社におかれましても、韓国国内での営業活動に加え、ウラジオストクと本市に現地事務所を開設されると伺っております。
本市としましても、八月には、寄港地である韓国東海市の市長と会談し、就航に向け両市が最大限の努力を行うことを確認しており、就航に合わせ、東海市において、境港の利用促進や中海圏域をはじめ山陰の観光PR活動を計画しておりますほか、韓国人観光客の受け入れ態勢整備など、受け入れ側としてでき得る取り組みを、鳥取県や中海市長会など関係機関とともに進めてまいります。
この航路の実現は、環日本海地域との交流を促し、山陰地方の経済活性化の起爆剤となるものであり、来年二月の就航に向けて最大限努力する考えであります。

 境港における平成二十年上半期のコンテナ貨物取扱量は、前年同期を約九%上回って推移しております。
さらなる利用拡大に向け、境港貿易振興会による関西での利用促進懇談会の開催など、引き続き利用促進に努めてまいります。

 米子―ソウル国際定期便につきましては、ウォン安の影響により、韓国からの入込みが苦戦しておりますが、金曜日便の発着時刻を早めるダイヤ改正もあり、日本からの利用は好調であります。
来年四月以降の運航継続に向けて、引き続き地域が一体となって利用拡大に努めてまいります。

観光について

「水木しげるロード」の観光入込み客数は、八月十日に開設以来一千万人を突破してからも好調を維持し、十月末には本年の累計が百五十万人を超え、昨年の過去最高の記録を更新中であります。
開館五年目のリニューアルを終えた「水木しげる記念館」におきましても、入
館者数は十一月二日に昨年の記録を超え、十一月末で約二十九万四千人、前年に比べ十四%の増となっております。
これも、映画「ゲゲゲの鬼太郎」の公開や、「ゲタ飛ばし大会」、「妖怪検定」、「妖怪そっくりコンテスト」など民間の方々を中心とした、絶え間ないイベントのPR効果によるものと感謝しております。

広域圏の観光連携につきましては、これまでも民間を中心に様々な取り組みが
行われていますが、十月には、鳥取、島根両県の行政・民間で組織する「中海・宍道湖・大山観光圏協議会」の観光圏整備計画が、観光庁の認定を受け、「山陰文化観光圏」として長期滞在型観光の実現に向けて取り組んでいくこととなったところであります。
本市関連の事業としては、今後、「市内食べ歩きマップ」の作成などにより、観光客の市内周遊性を高め、滞在時間の延長を図る計画となっております。
 本市としても引き続き、水木しげるロードの魅力度向上を図るとともに、中海・宍道湖・大山を中心とした広域観光の推進に取り組んでまいります。


水産業について

境漁港における本年一月から十月末までの水揚量は、八万三千トン余りで、前年同期の八十九%と下回っておりますが、水揚金額では、百七十一億三千万円余りで、前年より三%上回っております。
魚種別では、夏場のクロマグロの水揚げが本年も好調で、特に水揚金額は初めて三十億円を突破しましたが、反面、アジ、サバといったまき網主要魚種の水揚げは不調で、今後の水揚量の増加を願っているところであります。

 境港水産振興協会が中心となって、昨年八月に立ち上げられました「境港地域水産業構造改革推進プロジェクト」につきましては、地域の漁船漁業経営における収益性向上を図りつつ、加工・流通など関連産業を含んだ将来像を描く改革計画が、先月、国の「漁船漁業改革推進集中プロジェクト中央協議会」で正式に承認され、今後、ベニズワイガニ関連産業の永続的発展を目指し、省エネ型のカニかご漁船の建造や流通の改善などに取り組まれることとなりました。
本市といたしましても、本プロジェクトの推進と実行につきまして、鳥取県と協調しながら今後とも積極的に支援してまいりたいと考えております。

企業誘致の推進について

本年九月、企業誘致と雇用創出を強力に進めるため「境港市企業立地の促進及び雇用の拡大に関する条例」を制定し、固定資産税の免除、雇用促進奨励金等、立地企業に対する支援措置を大幅に拡充いたしました。
現在まで、条例に基づき、市内企業の企業立地事業計画を一件認定したところであります。
引き続き、支援措置のPRを積極的に行い、鳥取県等と連携して企業誘致活動を強化し、企業立地の推進と本市における雇用機会の拡大に取り組んでまいります。


夕日ヶ丘団地について

夕日ヶ丘の分譲につきましては、境港市土地開発公社用地と市保留地の本年度の販売実績はございませんが、民有地につきましては、これまでに三十四区画が販売されているほか、アパートの建築も十棟を数え、街並みが拡大しつつあります。
このような中、苦情の多かった悪臭などの環境改善を図るため、九月に、境港市土地開発公社において、分譲地に隣接する事業所用地約二万六千平方メートルを、一億五千万円で先行取得したところであり、今後、親水護岸、公園、墓地として整備する方針であります。
また、これらと併せて、スーパーマーケット等の商業施設の誘致に引き続き努力するなど、夕日ヶ丘全体の魅力を高めながら、分譲の促進につなげていきたいと考えております。


米子空港滑走路延長事業について

 米子空港の滑走路延長関連事業につきましては、鳥取県において、県道内浜線の付け替え工事が完了し、十月末に全面開通したところであります。
また、米子空港駅における待合室やトイレの整備のほか、関連する財ノ木広場付近の取り付け道路等、計画されている整備につきましては、年度内完成を目指し、国・県・市がそれぞれの役割において工事を進めているところであります。
なお、歩道橋を含む、米子空港駅とターミナルビルを結ぶアクセス道路につきましては、平成二十一年度完成を目指して、鋭意事業が進められております。
市道外浜線のう回部分の歩道整備につきましては、用地使用の協議が遅れておりますが、米子市と連携を取りながら本年度内完成に向けて努力してまいります。


米子市旭が丘団地の下水受入れについて

米子市から要請のありました大篠津町・旭が丘団地の下水の受入れにつきましては、事務協議を重ね、このたび、米子市との汚水処理事務の委託に関する規約案がまとまりましたので、本議会に議案として提案させていただいております。
旭が丘団地からの下水量は一日当り約百二十トンであり、本市下水道センターの現有能力の中で十分に受入れが可能であるほか、下水道センターまでの管渠整備費や下水の処理費は、米子市の負担としております。
両市議会で議決されますと、規約の締結、告示、鳥取県知事への届出などの手続きを経て、平成二十三年四月以降に下水を受入れる予定としております。


中海護岸整備について

国土交通省が計画する大橋川改修事業につきましては、鳥取県として事業着手の同意条件となっております環境影響調査、森山堤防の開削、中海護岸整備のうち、「環境調査一次とりまとめ」や「森山堤防の開削」は進んでいるものの、中海護岸整備が懸案となっております。
本年十月七日、二年ぶりに開かれた「中海護岸等整備促進協議会鳥取県部会」において、国土交通省から、緊急性が高い渡漁港について十年以内に整備するなどの案が示され、今月二十日には市民への説明会が開催されることとなったところであります。
本市としましては、中海護岸の要整備箇所については、国の責任において整備の促進を図るよう、鳥取県と連携して働きかけていくとともに、今後、地元調整や具体的な施行方法についても、引き続き関係者と協議していく考えであります。


森林保全活動について

本年十一月九日、弓ヶ浜海岸で「とっとり共生の森」事業による松の植樹活動が実施されました。
 これは、鳥取県、境港市、全日本空輸株式会社との間で締結した「森林保全・管理協定書」に基づくもので、全日本空輸株式会社が行う森林保全活動に対して、アシアナ航空株式会社、鳥取県、境港市が協力して行ったものであります。
 航空会社の多数の社員をはじめ、地元の中浜小学校や財ノ木自治会などの方々、総勢約二百名が、松くい虫に強い「抵抗性クロマツ」七百五十本を植樹しました。
 民間企業のこうした社会貢献活動を地域住民と一緒に行えたことは、協働のまちづくりを推進する本市としても喜ばしいことであり、将来、植樹された松が大きく育ち、この地区の景観と松林の公益機能の向上が図られることを期待しております。

学校教育について

児童・生徒の指導面におきましては、小学一・二年生の「三十人学級」に加え、本年度から新たに中学一年生の「三十三人学級」を実施するとともに、「のびのび浜っ子育成事業」でも、小学校の指導補助員を二名増員したことにより、個に応じた指導の充実がより一層図れるようになったとの声をいただいております。

「国際理解教育推進事業」につきましては、十月下旬に中学生十名を韓国ソウル市に派遣したところであり、参加した生徒達からは、初めて触れた異文化や風習から多くのことを学んだとの感想を聞いております。
なお、中海市長会におきましても、九月に市内のニ名を含む中海四市の中学生八名をカナダ・メトロバンクーバーに派遣し、現地の生徒との交流等を通して国際理解を深めたところであります。

 学校の施設整備につきましては、誠道小学校の冷暖房改修工事が十一月末に完了したことから、市内の小学校すべてに冷暖房設備が設置されたところであります。
 また、誠道小学校グラウンドの芝生化につきましては、PTAや地域の方々の協力のもと、七月から苗植え作業に取り掛かり、九月には青々とした芝生の上で運動会が開催され、子ども達が裸足になって伸び伸びと競技を楽しんだと伺っております。

社会教育について

境港市出身の郷土の先人七名を紹介するパンフレットが、このほどできあがったところであり、ふるさと教育の一環として、その業績を広く市民に周知し、後世に伝承していくこととしております。
生涯読書の推進につきましては、八月に「第四回境港市読書活動推進大会」を開催しました。
今年は特に、高齢者を対象とした読書活動の推進を図るため、写真や古い民具などを見ながらこれまでの人生の歩みや意義を振り返る「回想法」をテーマに開催し、参加した市民の方々から好評を得たところであります。
市民会館のアプローチ屋根の改修工事につきましては、フロアの改修も併せて実施し、十月から快適に利用できるようになったところであります。

 また、八月から文部科学省の委託事業として「学校支援地域本部事業」に取り組んでおりますが、この事業は、地域の方にボランティアとして学校を支援していただき、地域教育力の活性化と、学校・地域の連携体制の構築を目指すものであります。
現在、学校ボランティアの登録者数は百十名となっており、本の読み聞かせや樹木の剪定などで、ご支援いただいております。


子育て支援について

子育て環境が様変わりする現在、本市におきましても、育児困難感を持つ親が増加しているように見受けられます。
こうした状況を受け、十一月に、市内幼稚園・保育所職員や学校関係者、民生児童委員、主任児童委員等の参加のもと、総勢百十名による「児童虐待防止推進キャンペーンパレード」を県内で初めて実施し、市役所からJR境港駅前広場までの間、地域の方々に子育ての支援等を呼びかけたところであります。

本年度から新たに実施しております「病児・病後児保育」は、十一月末現在の登録児童数は二十二人、利用延べ人数は七十二人となっております。
この事業は、済生会境港総合病院に委託しており、特に、これからの風邪が流行する時季に、どうしても仕事を休めない保護者にとって、安心してお子さんを預けられる力強い支援策となるものと考えております。

また、助産師会の方々による講話「命の大切さ伝え隊」事業は、市内の全幼稚園・保育所で、PTAと保護者会との共催により実施しました。
今後も、保護者が自らの問題として、より良い子育てを考える場が持てるよう、「ハッピー子育て応援団」、「ハッピー赤ちゃんだっこ授業」などの先駆的な施策に加え、仲間づくりや情報提供などの支援も行っていく考えであります。


障害者福祉について

障害者自立支援法が施行され、サービス体系が抜本的に見直される中で、小規模作業所(法定外施設)については、平成二十三年度までに法定施設へ移行する必要がありますが、市内二か所の障害者作業所では、関係者のご努力により「まつぼっくり作業所」が本年四月に移行でき、続いて「お菓子屋くれぱす」も本年度中には移行できる状況になりました。

また、本年九月から障害者の日中活動、スポーツ活動の場として「障害児・者のためのトランポリン教室」を実施しております。
これはトランポリン器具を市で購入し、鳥取県トランポリン協会の協力のもと、境港市障害児(者)育成会が教室運営を行っているもので、これまでに五回開催され、参加者は皆いきいきとした笑顔で運動を楽しんでおり、大変好評であります。
十一月からは、市民総合ボランティアセンターとの協力体制のもと、境港総合技術高校生や市民ボランティアの参加により、さらに広がりのある事業展開を期待しているところであります。

さらに、障害者の就労支援について、障害者支援センターと連携して地元企業
への訪問活動を行っており、本年度は三名を就労につなぐことができました。
採用後も、ジョブコーチ(職場適応援助者)による指導や定期的な訪問を行う
支援態勢をとっており、引き続き障害者就労への理解向上に取り組んでまいります。


以上、市政の概要についてご報告申し上げましたが、議員並びに市民各位の格
段のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。




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