所信表明要旨(平成24年9月12日)

平成二十四年九月定例市議会が開催されるにあたり、今後の市政運営について所信の一端を申し上げ、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力をお願いするものであります。
 私は、このたびの市長選挙におきまして、市民の皆様をはじめ各方面からの力強いご支援と温かいご厚情を賜り、引き続き市政の重責を担わせていただくこととなりました。無投票での再選という結果は、これまで二期八年間の市政運営に一定の評価をいただけたのではないかと前向きに受け止めておりますが、これまで以上に、責任の重大さを痛感いたしているところでございます。
このうえは、さらなる市勢伸展と市民福祉の向上に向け、全身全霊を傾けて取り組んでまいる所存であります。
 
三期目の市政のスタートにあたり、基本的な考え方をはじめ、今後取り組むべき施策の概略について申し述べます。
私は、市長に就任以来一貫して申し上げておりますとおり、「公明正大」を不変の政治理念として、住民の心や思いに寄り添った公平公正できめ細かな市政運営に努め、「市民と共に築く風格あるまち」をめざすことを基本線として懸命に取り組んでいるところであります。
一期目におきましては、基本線に沿って「協働と改革」をキーワードに、市民参画の気風を創り上げていく「協働のまちづくり」と、まちづくりの基礎となる「自立持続可能な財政基盤の確立」にまい進いたしました。
二期目におきましては、本市の将来都市像である「環日本海オアシス都市」実現のため、「連携と共栄」をキーワードに、周辺地域との連携強化による圏域全体での一体的な発展を模索してまいりました。
市民並びに市議会のご協力もあって、幸いにも財政状況の改善、協働のまちづくりの進展、夕日ヶ丘団地の市街化促進、環日本海定期貨客船の就航、中海市長会の発足とさらなる拡大など、一期目、二期目の取り組みが着実に進展をし、その成果を見ますと私がめざしてきた市政の方向性は、間違っていなかったと確信しているところであります。
今後の四年間におきましては、これまでの二期八年間の取り組みをさらに大きく花開かせ結実の時期にしたいと考えておりますので、引き続き「連携と共栄」、「協働と改革」の考え方を踏まえ、同様な方針で取り組んでまいりたいと考えております。
具体的には、選挙の際に五つの重点施策を掲げておりますので、これに沿って取り組んでまいりたいと考えております。
それは、
一.連携強化による一体的発展
二.全国ブランドである「さかな」と「鬼太郎」を生かした経済振興
三.一人ひとりを大切にした教育と福祉の充実
四.安心で住みよい生活基盤の充実
五.市民との協働による誠実な行政運営
であります。

一.連携強化による一体的発展について

従来の「中海市長会」を発展的に解消し、本年度から出雲市と鳥取県西部の町村を加え「中海・宍道湖・大山圏域市長会」を発足したところでありますが、この新たな枠組みによる圏域は、日本海側でも有数の人口、経済規模を有しており、「北東アジアに向けた西日本のゲートウェイ」になり得るものと考えております。
そのような中で、本市の有する「境港」と「米子鬼太郎空港」という経済振興上非常に重要な鍵となる社会基盤を、この圏域の共有財産とし連携して最大限に利活用することによって、一体的な発展に繋げていくことが最も重要な事柄であると考えております。
そのためにも「境港」においては、環日本海定期貨客船の利用促進に加えて、各種岸壁の整備促進、日本海側拠点港として「国際フェリー・国際RORO船」機能等の追加選定、さらには物流強化のため、米子インターチェンジから「境港」に向けた高速道路の整備など、一層の機能強化が図られるよう努めてまいります。
また、この中海・宍道湖・大山圏域は、多様な観光資源や豊かな自然環境に恵まれており、市長会では、主に観光・産業・環境の三分野を中心に、この圏域の特色や魅力を生かした連携事業を実施していくこととしております。
このほか、
米子鬼太郎空港の利用促進
貿易振興組織の強化・拡大
市民レベルの国際交流の促進
などに力を注いでまいりたいと考えております。

二.全国ブランドである「さかな」と「鬼太郎」を生かした経済振興

水揚げ日本一を誇る「カニ」や「生マグロ」などの水産物や、年間三百万人を超える入込客のある「水木しげるロード」に代表される本市の地域資源を効果的に組み合わせ、「さかなと鬼太郎のまち」ならではのイベントなどを通して、引き続き本市の魅力を積極的に情報発信してまいります。さらなる認知度アップの取り組みとともに、本市の観光戦略である観光振興プランの推進により、観光地としての一層の発展に努めてまいります。
基幹産業である水産業においては、鳥取県が水産関係者や行政をメンバーとする「さかいみなと漁港・市場活性化協議会」を立ち上げ、その中で今後の漁港のあり方や市場機能の強化などについて、幅広く議論を重ね、振興ビジョンの策定に取り組まれております。水産業の振興は、本市経済の活性化に非常に大きな影響を及ぼすものであり、この振興ビジョンの策定・推進にできる限りの協力をしてまいります。
また、境港水産加工汚水処理場につきましては、老朽化が進んでいる管渠等の改修に取り組み、水産加工業のさらなる振興と市場背後地の機能強化に努めてまいります。
さらに、農業では、農家の育成やしろねぎ産地の維持・拡大による農業振興に努めながら、伝統的地域資源である「伯州綿」の復興にも取り組んでまいります。
水産と観光の相乗効果を様々な産業に波及させることにより、地域経済の振興を図ってまいります。
このほか、
水木しげるロード周辺の環境整備
企業誘致と雇用の創出
などに力を注いでまいりたいと考えております。

三.一人ひとりを大切にした教育と福祉の充実について

「心豊かで、たくましい子ども」「夢や希望を持ち、よりよく生きようとする子ども」を、引き続き本市のめざす「子ども像」とし、「生きる力」を育む教育に努めるとともに、家庭・地域が一体となって「子どもたちを見守り、育てる」意識を醸成してまいります。
特に少人数学級の実施や指導補助員の配置など、一人ひとりと向き合ったきめの細かい指導を引き続き行うとともに、防災機能を備えた第二中学校の建設や小中学校給食に対応する給食センターの新設など、次代を担う子どもたちの教育環境の整備を進めてまいります。
また、「心豊かな人と文化の育成」に向け、読書活動の推進や公民館活動の充実などを図り、生涯学習の推進や文化振興にも努めてまいります。
これまでも重点的に取り組んでまいりました子育て支援につきましては、
引き続き積極的に取り組み、教育環境を含め、母子保健、生活環境、雇用環境、安全の確保など、多岐にわたる子育て支援を全庁的な体制で総合的に進め、「子育てするなら境港」と思っていただけるまちをめざします。
特に、子育て家庭における経済的負担のさらなる軽減を検討するほか、より身近な地域の中での子育て環境づくりに努め、市民一人ひとりが意識的、意欲的に子育て支援に参加することで「地域の子育て機能」を高め、社会全体で子育て支援の輪を拡げてまいります。
また、高齢者や障がいのある方などを市民みんなで支え合う近隣住民支援体制の構築、介護や地域医療体制の維持向上など、住み慣れた地域で健康で安心して暮らせるまちづくりを進めます。

四.安心で住みよい生活基盤の充実について

東日本大震災を教訓に、総合的な防災体制強化の取り組みを進めてまいります。
その中でも、地震・津波対策につきましては、六月に作成したハザードマップを基に、避難計画等の策定を進めるとともに、災害時における自助・共助の周知・啓発や継続した避難訓練の実施などにより、防災意識の醸成に努めてまいります。
原子力災害対策につきましては、国の新たな指針等に沿って、中国電力との安全協定の見直しなどを進めてまいります。
また、国が実施する中海護岸堤整備の一環として進められている渡漁港の移設と新たな堤防の整備、これに伴い市が実施する側溝改修など一連の整備進捗を図り、渡漁港周辺の内水対策に努めてまいります。
西工業団地貯木場の堤防の整備につきましては、国・県・市及び貯木場所有者による協議を進めており、この協議の進捗にあわせ、周辺の内水対策に取り組むこととしております。
さらに、生活道路の改修や狭隘道路の解消、公共下水道の整備促進など快適な生活環境の整備に努めるとともに、ごみの広域処理体制の新たな構築についても、鳥取県西部の市町村と一体となって取り組んでまいります。
このほか、
夕日ヶ丘の市街化促進
荒廃農地の解消
などに力を注いでまいりたいと考えております。

五.市民との協働による誠実な行政運営について

市民と行政がそれぞれの役割と責任を自覚し協力分担してまちづくりに取り組む「協働のまちづくり」は、市民の皆様のご協力のもと、着実に広がっていると感じております。引き続き、「自分たちの住むまちは、自分たちで考え、自分たちで創り上げていく」という機運あふれるまちの実現に努めるとともに、行政情報の積極的な公開により市民の皆様と情報を共有し、説明責任を果たす取り組みをはじめとする市民に開かれた市政を進めてまいります。
また、職員一人ひとりが常に改革の意識を持ち、事務事業の効率化などに引き続き取り組むとともに、真に必要とされる市民ニーズや地域課題に的確に対応してまいります。
 
以上、三期目の市政に臨む基本的な考え方を申し述べました。議員並びに市民各位の一層のご理解とお力添えを賜りますよう、重ねてお願い申し上げ、私の所信の表明といたします。



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