境港市の財政状況へ

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平成16年3月8日



3月定例市議会において、議案審議に先立って行われた黒見市長の施政方針です。
施政方針要旨

今期、定例市議会において、平成16年度予算をはじめとする諸議案をご審議願うにあたり、所信の一端を述べるとともに、当面する課題について申し上げ、議員各位並びに市民の皆様の一層のご理解とご協力をお願いする次第でございます。

現在、わが国の情勢は、いまだ回復の兆しを実感できない国内景気、少子・高齢化の進行、世界情勢の緊迫化など様々な問題に直面しており、加えて、国・地方ともに税収が落ち込み、巨額の債務残高を有するなど、極めて厳しい状況におかれております。

このような中、平成16年度は、実質的な意味で国が進めている三位一体改革の初年度であり、「地方にできることは地方で」という理念のもと、国と地方の明確な役割分担に基づいた地方分権型の行政システムが構築されようとしておりますが、国の財源措置が極めて不十分であり、全国の地方自治体においては、総じて予算編成に困窮するという事態を招いておるところであります。

地方を取り巻く財政環境は、当分の間、厳しい状況が続くものと思われますが、真の地方自治を確立していくためには、「自立」と「変革」が必要であり、これまで以上に市民に最も身近な基礎自治体として、市民の意向に沿った行政を行っていかなければなりません。
そのためにも、市民と行政が、それぞれの役割と責任を認識し、ともに考え、連携し、行動できる協働推進のための仕組みを模索してまいりたいと考えております。

本市では、これまでも、情報公開と市民参加による市政運営に努めるとともに、各種事業を市民団体等に委託するなど、公益活動を行う団体との協働にも取り組んできておりますが、これからの地方分権時代には、こうした市民団体が本来持っている活動力を、さらに継続・活発化させていくことが欠かせないことと考えます。
このため、ボランティア団体をはじめとする公益活動団体の活動・交流の拠点となるセンター設立の実現に向けて努力してまいる所存であります。

行財政運営について

○平成16年度予算
平成16年度予算編成につきましては、三位一体の改革により多額の財源不足が生じる中、本年度から取り組みました人件費の抑制や行政経費全般について、さらに徹底した削減を継続実施することにより、プライマリーバランスの黒字化、基金繰入の抑制を目標といたしました。

地方財政は、かつてない厳しい状況におかれておりますが、効率的・効果的な行財政運営に向けた取り組みを継続する一方、市民の福祉・教育の充実等に重点を置き編成いたしております。

○行財政改革
本市では、本年度より本格的な行財政改革に取り組んでおり、2か年で約10数億円の財源効果を見込んでいるところでございます。

しかしながら、平成16年度における国の地方財政計画の内容は、予想していた以上に厳しいものであり、従来からお示ししている「行政改革大綱に基づく実施計画」による取り組みだけでは、この難局を乗り切ることはできないものと考えております。

職員給与の減額等、人事・給与制度の見直しにつきましては、全国でもあまり例を見ない内容の改革でありましたが、今後、職員定数についても、外部委託可能な業務の洗い出しを行う中で、将来の業務量を勘案しながら、いかに職員数を削減できるのか、その手法と数値目標を市議会及び市民の皆様に、年内にはお示しできるよう検討に着手いたしたところでございます。

このほかにも、行財政改革の一環として、本年4月から、固定資産税・都市計画税の税率改正を行うこととしており、また、可燃ごみ持ち出し用袋の有料化についても進めてまいりたいと考えております。

市民福祉の充実について

○少子化対策
昨年、次世代育成支援対策推進法が施行され、市町村には、地域における子育て支援等を進めるための行動計画策定が義務づけられたところであります。

これを受け、先月、子育て中の就学前・就学中の千世帯のご家庭を対象とし、アンケートによるニーズ調査を行ったところであります。

今後、その結果をはじめ、市民各層で構成する「子育て支援境港市行動計画策定委員会(仮称)」からのご意見も踏まえ、計画策定を行う考えであります。

誰もが、安心して、子供を生み育てられる相談体制を確立するため、平成16年度に「子育て支援課」を設置することとしております。

○障害者福祉の充実
境港市障害児(者)育成会が運営している小規模作業所「まつぼっくり」は、平成10年の事業開始以来、順調に運営を続けてこられましたが、本年4月からは、運営組織を法人化され、小規模通所授産「まつぼっくり」として、新たにスタートされることとなりました。

また、市民の自主的な取り組みにより、新しくお菓子屋「くれぱす」という小規模作業所も4月から開設されることが決まっております。

両作業所が、障害者の活動の場であるとともに市民との交流の場として発展されるよう、念願しているところであります。
市としましても、運営が軌道に乗りますよう、できる限り支援してまいりたいと考えております。

○高齢者福祉の充実
介護サービスの新たな提供施設として、本年度には、小規模デイサービス事業所が、福定町と外江町に開設され、4月には痴呆性高齢者のためのグループホームが、夕日ヶ丘と日ノ出町に開設されることとなっており、これからの高齢者介護として、「小規模」、「多機能」、「地域密着」型の介護サービスの充実が図られるものと期待しているところであります。

市といたしましては、引き続き、高齢者ふれあいの家事業、筋力向上トレーニング事業を初めとする介護予防・生活支援事業等を実施し、高齢者の福祉を総合的に支援してまいりたいと考えております。

また、作業所が狭隘化しておりますシルバー人材センターにつきましては、本年6月に昭和町にある元の境港海技専門学院に移転される計画で準備が進められており、施設の充実と合わせて、その機能がさらに発揮されるものと期待しております。

産業の振興について

○水産業の振興
境漁港における平成15年の水揚げ量は、全国第8位の12万1千トン余で、対前年比121.4%となり、平成10年以来、5年ぶりの上向き基調となり、水揚げ金額につきましては、全国12位の184億7800万円余で、対前年比99.5%となったところであります。

漁獲量の大幅な回復が早急には見込めず、食の安全が求められている中、地域間の競争で生き残るためには、限られた漁獲物の高鮮度化など高い付加価値化が課題となりますが、市といたしましても、鳥取県と連携し、水産関係者のご意見を伺いながら方策を検討しておるところであります。

また、平成16年度からは地域養殖業振興事業として、境港のサバのブランド化並びに安定供給を目的とした養殖事業を支援し、「育てる漁業」の確立を目指してまいりたいと考えております。


漁港改修事業につきましては、引き続き、新港1号及び2号上屋の防風防暑施設の整備を行い、平成17年度の完成を目途に、施設機能の強化を図ることとなっております。

○農業の振興
本年度に引き続き、干拓地保水力向上対策事業、白ねぎ病害虫防除薬剤助成、緑肥作物作付推進事業等の施策を講じ、農家の行っている品質向上、増収の取り組みを支援することで、白ねぎ産地維持を図ってまいります。

また、経営基盤の弱い新規就農者に対する支援といたしまして、就農基盤整備事業を活用することにより、初期投資の軽減を図りながら、農業改良普及所等と体制を組んで必要な支援を行っていく考えであります。

国営中海土地改良事業につきましては、国が策定される事業計画において、弓ヶ浜半島及び中海干拓地の水源対策が十分なものとなるよう、国、県及び関係団体と協議を重ねてまいる所存であります。

○企業誘致
竹内団地において、株式会社プラントの大型店舗の工事が順調に進捗し、従業員の募集も開始されるなど、本年夏の開店に向けて着々と準備が進められております。

今後も、鳥取県や境港商工会議所など関係機関・団体と連携し、竹内団地の活性化や、消費者の利便性を高め、地域経済の振興を一層促進するため、この周辺へのさらなる企業誘致を図ってまいりたいと考えております。

また、雇用対策といたしましては、引き続き、緊急地域雇用創出特別基金事業を積極的に活用するほか、竹内団地への企業誘致を推進する中から、新たな雇用創出に努めてまいります。

○観光振興
1年前に開館いたしました水木しげる記念館には、予想をはるかに上回る来館者があり、水木しげるロード全体でも、昨年1年間の推計で、対前年比39%増の85万人を超える入り込み客を数え、過去最高を記録したところであります。

一方、「カニ水揚げ日本一境港PR実行委員会」においても、カニをはじめとする境港の水産物のPRについて、鬼太郎や妖怪と連携した新たな取り組みが行われており、今後も、こうした取り組みを進め、様々な観光施策を展開してまいりたいと考えております。

環日本海交流の推進について

○境港の利用促進
重要港湾境港における昨年のコンテナ取扱量は、1万1200本余と、平成13年以来、3年連続で1万本を超えることができましたものの、貨物取扱量は、全体でおよそ420万トン余と、前年の95.3%にとどまったところであります。

本年は、山陰初となるガントリークレーンの供用開始並びに5万トン岸壁、江島大橋が完成することから、港湾機能が飛躍的に充実することとなります。

利用促進等につきましては、先般、民間の立場から助言をいただくことを目的に、「境港市FAZアドバイザー」の委嘱をしたところであり、今後とも、ポートセールスに努め、港湾と空港の利用促進を図ってまいりますとともに、環日本海航路の開設や拡充などに向けて取り組んでまいる考えであります。

○国際交流
これまでの人的交流や教育・文化交流の成果を踏まえ、今後は、経済交流を中心とした取り組みが重要であると考えております。
民間による幅広い活動が展開されることで、環日本海交流が一段と推進されるものと期待いたしております。

環境・防災について

○環境問題
廃棄物の減量化とリサイクルを推進し、循環型の地域社会を構築していくために、昨年10月から、事業系のごみ処理などの有料化を導入しましたところ、市民や事業所の皆様のご協力により、ごみ減量化に一定の効果が得られたところであります。

先般、境港市廃棄物減量等推進審議会において、可燃ごみ持ち出し用袋を有料化して、減量化とリサイクルを徹底するよう答申をいただきましたので、今後一層、市民、事業者及び行政が一体となった取り組みを推し進めてまいりたいと考えております。

また、平成16年度は、「中海に係る湖沼水質保全計画」が、5年ごとに見直される年でもありますので、中海の水質浄化が促進されるよう、鳥取県、島根県並びに沿岸の市町村と連携を取りながら対応してまいりたいと考えております。

○防災対策
平成14年度に着手した防災行政無線の更新工事が、平成16年度で完了いたしますので、災害時の情報伝達や行政情報の周知が、より円滑に行えるものと考えております。

このほかにも、災害に強いまちづくりを推進するため、引き続き自主防災組織の育成などに取り組むとともに、有事の際に国民の生命・財産を保護するための手続きを定めた国民保護法が本年施行予定であることから、これに対応できる本市の「国民保護計画」及び「避難マニュアル」作成のための諸準備を進めてまいりたいと存じます。

都市基盤整備について

○米子空港滑走路延長事業
関連プロジェクトであります県道米子境港線とJR境線の付替えにつきましては、現在、現地測量及び基本設計が進められており、平成16年度には、環境影響評価の公告、縦覧等の手続きが実施されることとなっております。

また、滑走路延長事業に伴う地域振興計画につきましては、平成13年度から取り組み、本年度末の進捗率は、おおよそ40%と順調に執行しておりますが、国・地方とも財政環境が極めて厳しい状況であることから、平成16年度以降における一部の事業につきましては、先送りしたところであり、実施時期については中期財政見通しの中で検討してまいります。

○境港新都市土地区画整理事業

工事関係は、本年度末で概ね完了する見込みであります。
平成16年度からは、分譲促進を最優先に取り組むこととしており、新たに渡地区の分譲を開始したいと考えております。


○公共下水道事業

本年度末に境地区の汚水を受入れる境港1号汚水幹線が完成する予定になっておることから、今後は、境東地区や下ノ川北側の上道地区の面的整備を重点的に行ってまいります。

また、鳥取大学と共同研究を行っております公共下水道全体計画の基礎データの見直しを踏まえ、平成16年度には、全体計画を変更するとともに、認可区域の拡大と事業期間の延長をしてまいりたいと考えております。

教育の振興について

○教育の振興
学校教育では、現在、取り組んでおります「開かれた学校づくり」を一層推進し、市民に対しての「学校一斉公開日」の設定や、「地域における体験活動」の充実を図り、学校教育の活性化を図ってまいりたいと考えております。

教育環境の整備については、引き続き、小学校低学年の30人学級の実施、各小中学校への「指導補助員」の配置など、個に応じたきめ細かい指導を行ってまいりますとともに、中浜小学校の校舎増築、境小学校の冷暖房施設の改修に取り組むなど、教育環境の充実に努めてまいります。

また、児童クラブについては、現在、3地区で開設されておりますが、新学期からは、地域の関係者のご尽力により、新たに外江地区と渡地区に児童クラブが開設される運びとなっているところであります。

上道児童クラブにつきましては、旧上道村役場の改修を行い、利用していただくことを考えております。


以上、本市を取り巻く状況並びに平成16年度の市政運営の基本方針、主要施策につきまして、その概要を申し述べました。

具体的な施策につきましては、予算案、その他の議案の提案理由で申し上げたいと存じます。何とぞご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。


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