平成18年8月定例記者会見

市長説明

1.第2期境港市まちづくり市民委員会の募集について
 本市では「協働のまちづくり」を市政運営の柱の一つにしているが、まちづくり市民委員会については、第1期の委員の任期がきまして、先日、これまでの審議を総括する全体会があり、私も出席し、いろいろな意見を伺ったところである。
 60人の市民の方々が市政に参加し、いろいろ勉強しながら、意見交換がなされたことは、大変成果があったと思っている。
 これまではあらかじめ5つの部会を設けて募集したが、2期目については、応募状況に応じて部会の編成を考えることにしている。進め方としては、毎回、私が出席し、直接委員の皆さんの意見を伺う考え。内容については、資料のとおり。

2.冷凍倉庫に係る固定資産税及び都市計画税の還付等について
 このたび、境港市に所在する冷凍倉庫に対する課税で、適正な課税がなされてなかったことが判明したので発表したい。
 建物の固定資産税は、地方税法に基づき評価し、経過年数に応じて、毎年、減点補正率を適用して減価していくこととなり、「一般用の倉庫」と「冷凍倉庫」とでは、減価する率を区別して算定するようになっていたが、「冷凍倉庫」について適正な減価率をかけてこなかったことが判った。
 冷凍倉庫の捉え方、明確な基準が、国においてもはっきりと示されていないため、全国的に適用漏れの状態になっている。
 総務省に冷凍倉庫の捉え方を確認したが、はっきり示されなかったので、全国の水産都市をはじめ、県内の他市と情報交換しながら、一応の方向性をまとめた。
 市内の倉庫831棟、工場512棟、計1343棟について、7月30日から8月10日まで調査を行なった結果、32業者65棟が、マイナス20度以下の能力を有する倉庫と判明した。
 他の自治体と連絡調整する中で、冷蔵倉庫にはC級とF級があるが、冷凍倉庫については国でもはっきりした基準がない中、名古屋市が総務省に対して、F級以上を冷凍倉庫として判断していいかと問い合わせたところ、「差し支えない」という回答を得たとのことで、私どもも、F級を冷凍倉庫と捉えようということになり、マイナス20度以下のF級を冷凍倉庫と認定して、評価額を修正したところ。
 地方税法で還付するのは5年間だが、水産業は本市の地場産業であることでもあり、全国の水産都市の状況を調査して、さらに5年間さかのぼり、10年分を還付、補填することとした。その金額は、1億4,900万円余りで、これは今度の議会で補正予算を提出し、議会で承認いただいた後、速やかに還付、補填していきたい。
 還付にあたっては、該当事業所を訪問して、適正な評価がなされなかったことについてお詫びして理解を求めていきたいと思っている。
 いろいろ原因はあるが、全国的に問題が起こっており、まず考えられることは、冷凍倉庫の捉え方、基準を国が示していないことが要因として挙げられる。
 もう一つは、冷蔵倉庫や冷凍倉庫といった非木造は、県が評価したものを市に通知してくるが、その中の用途欄には、「冷蔵倉庫、倉庫、工場等」という記載しかない訳であり、その区分に従って評価していたと思われる。
 境港では、冷蔵倉庫のランニングコストを抑えるために、一棟の建物に冷凍室を兼ね備えるようにしているが、冷凍室の面積がごく一部であることから、主たる用途を「冷蔵倉庫」として安易に判断していたことが考えられる。
 再発の防止策としては、県が評価を行なう際に、はっきり区分して連絡するように協議していきたい。なおかつ、それで判断できないものは、現地調査していきたい。
 税の問題については、行政に対する不信を招く最大のものと思っており、このたび適正に課税されなかったということは、深くお詫びしたいと思っている。境港の場合、水産加工が地場産業であり、そういう施設が集積しているので、税額も大きくなる。


1ページ(第2期まちづくり市民委員募集)[pdf:19KB]

2・3ページ(冷凍倉庫にかかる固定資産税および都市計画税の還付)[pdf:23KB]

質疑応答

【記 者】冷凍倉庫は、大半が水産物用か。32業者65棟というのは、全部か。
【市 長】そう。判明したF級規模のものは全部。
【記 者】建物ができたときから適正な課税がなされていなかったということか。
【市 長】全部、冷蔵倉庫として一般倉庫並みに扱ってきた。
【記 者】冷凍倉庫の減価率を上げるというのは、いつから始まったものか。
【総務部長】減価率の表は昭和39年にできているが、冷凍倉庫とは何かということは、今も示されていない。たまたま、今年に入ってから、名古屋市が総務省に問い合わせたら、倉庫にはC級とF級とがあるが、マイナス20度よりさらに下げる能力のF級を冷凍倉庫として判断して「差し支えない」との口頭の指示があった。
【記 者】判断基準を国に求めても、「最終的に課税するのは市町村。判断は各市町村で」としか見解が示されず、判断がつかない。名古屋市が「F級で差し支えないか」との問い合わせに、正しいとか間違いという判断でなく、「差し支えない」という回答だった。
 そこで、特定第三種漁港をもつ全国の水産都市でどういう対応をしているか全部調査して、F級を冷凍倉庫として課税していくこととした。地方税法では5年までしか還付できないが、それを超える5年分は補填金として返すことにした。
【記 者】総務省の回答は、はじめての判断か。
【総務部長】具体的には示さずに、「凍結機能の有無や、凍結させたものを保存するための機能の有無によって、各市町村で判断されたい」というのが総務省の見解。
【記 者】冷凍倉庫と冷蔵倉庫がある施設では、今回適用されるのはF級部分だけか。
【総務部長】大きな建物がある中で、どこの部分をもって冷凍倉庫とするかということではなく、判断としては、建物全体の主たる用途としてF級倉庫部分が半分以上を占めた場合に減率をかけていく。
【記 者】その部分が1割しかないと、一般倉庫となるのか。
【市 長】そう。
【記 者】還付金の1業者当たりの最高額と最低額は。
【総務部長】一番多いところで2,600万円余り、一番少ないところで19万円余り。
【記 者】倉庫の分類を掲げているものは、倉庫業法しかないのか。
【総務部長】倉庫業法のみ。これも冷凍倉庫と冷蔵倉庫という区別はない。「冷蔵倉庫」としてC級とF級がある。
【市 長】そういうものがあれば、このような問題は起きない。
【記 者】昭和39年に示されたものの根拠法は。一番古い倉庫はいつ建築か。
【税務課】地方税法。昭和43年の建築。
【記 者】どれくらい安くなるのか。税率が変るのか。
【総務部長】始めのうちは差がないが、20年くらい経った頃が最大で、それからまた差は小さくなっていく。課税標準額が一般倉庫より少なくなることにより税額が安くなる。
【記 者】判りやすい例は示せないか。
【税務課】鉄骨づくりが一番多いが、建築後22年で残価率が0.2ポイントまで下がり、それ以降一定になる。一般倉庫では、35年経年で0.2ポイントまで下がるので、13年ほど違う。
 例えば、鉄骨造り、平成2年建築、床面積2,100平方メートルで、課税額が年約54万円に対して、一般倉庫で課税すると年約82万円で、約28万円の差となっている。
【記 者】地方税法では5年分還付できるが、さらに5年分返す根拠は。その費目は。
【総務部長】あとの5年分は、地方自治法232条の2の補助にあたり、補填金という言い方をしている。9月議会での補正予算に、総務費の過誤納金還付金として計上する。最終的には議会の承認を得てから還付する。
【記 者】国に責任はないのか。
【市 長】最終的に課税するのは市町村。ただ、全国の市町村に冷凍倉庫はあるが、大方のところがそういう適用をしていないのは、国の基準、定義がなされてないことが一因であると思う。けれども、最終的には市町村が課税するのであり、確認をして、適正な評価がなされてなかったことについては反省をして、今後二度とないようにしたい。
【記 者】県との協議で、県は承知したということか。
【市 長】このような施設は、県が評価に行き、調査する訳で、それをまた市が調査するというのは不効率になるので、県でよく調査し、用途欄には冷凍倉庫の記載をしてもらうようにお願いしていく。事務が二重になるようなことではいけない。継続して話をしているところ。冷凍倉庫をF級と定義づけしてしまえば難しいことではない。
【記 者】還付額1億4,900万円の大半は固定資産税か、都市計画税か。
【税務課】固定資産税は1億1,700万円余りで、都市計画税は600万円余り。1億4900万円余りの中には利息も入っている。
【記 者】基準があることを把握しておれば課税できていたということか。
【市 長】そういうこと。境港は他の街とは違い、冷凍倉庫を多くかかえているので、そういったものには敏感でなければならないとは言えると思う。
【総務部長】県との話では、「総務省以上のことは言えない」ということで、市町村としては苦しい。
【市 長】最終的に課税処分するのは市町村。不明確であったにしても、最終的には市町村の責任。冷凍倉庫の基準がこれまで定義付けされてなかったのが要因。
【記 者】資料の棟数はすべてか。
【税務課】冷凍室を備えた冷蔵倉庫と思われる建物の全数が111棟で、その中の65棟がF級だった。
【記 者】国、県が基準を示さない中、境港市は水産都市ということで、対応したということか。
【市 長】北海道から九州まで倉庫はあるが、境港市は、一般の都市とは違うと思う。ただ、すべての都市で適用漏れがあるということは、いかに冷凍倉庫の基準があいまいで、示されていなかった現れだろう。
【記 者】ちゃんとやっていたところもあるのか。
【市 長】あると思う。全国展開している会社があるようなところでは判ると思う。
【記 者】鳥取県では、冷凍倉庫として課税されているものはないのか。
【総務部長】冷凍倉庫としてもらっているところは、聞いていない。
【記 者】さらに5年さかのぼる補填金は、水産業保護、育成が目的か。
【市 長】税法上は5年しか返せないが、市民レベルから見ると、適正に課税されてないものを5年しか返せないから5年で切るというのは、市民感情としてどうなのかということから、お返しするもの。
【記 者】プラス5年分は自己申告か。
【市 長】市で計算して返す。台帳が10年保存なので、市で確認できる。
【記 者】その財源は。
【総務部長】2億円近く必要になるが、たまたま、下水道特別会計で起債が追加され、市債を起こすのに2億ほど借りるので、繰り出し金がマイナスとなり、その部分で市の財政としてはしのげている。
財政状況が厳しい中でのことなので苦慮しているが、間違えて徴収したものは、こういう状況の中でも返すのが道理。将来に向けて大きな影響はないだろうと考えている。
【記 者】業者からの指摘でなく、名古屋市の事例から調査したのか。
【市 長】そう。改めて市から申し出て、調査した。
【記 者】説明会を開く考えは。
【市 長】そういう形でなく、議会終了後、個別に訪問し、お詫びし返していく。
【記 者】境港の魚市場の関係で、鳥取県の漁協と島根県の漁協が提携することについて、コメントを。
【市 長】境漁港では、かつて60万トン以上あった水揚げが10万トンを切る中で、荷受は3者ある。今回、正式な合併でないが、このうち2者が業務提携して効率的に取り組むことは、大変いいことだと思う。




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