所信表明要旨(平成28年9月7日)

 平成二十八年九月定例市議会が開催されるにあたり、今後の市政運営について所信の一端を申し上げ、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力をお願いするものであります。

 森岡議員におかれましては、このたびの市議会議員補欠選挙において、めでたくご当選されましたことを、心よりお慶び申し上げます。

 私も、このたびの市長選挙におきまして、市民の皆様をはじめ各方面からの力強いご支援と温かいご厚情を賜り、引き続き市政運営の重責を担わせていただくこととなりました。
 このことは、これまで三期十二年間の実績に対しまして、一定の評価をいただけたものと考えておりますが、選挙期間中にいただきました貴重なご意見を真摯に受け止め、初心に立ち返り、さらなる市勢の伸展と市民福祉の向上に向け、全身全霊を傾けて取り組んでまいる所存であります。

 そこで、四期目の市政のスタートにあたり、基本的な考え方をはじめ、今後取り組むべき施策の概略について申し述べます。

 私は、市長に就任以来、「公明正大」を不変の政治理念として、真に市民の立場・視点に立った市政運営に徹してまいりました。
この理念と視点を基本に、引き続き「市民と共に築く風格あるまち」の実現に向かって、邁進してまいります。
 これまでも「協働と改革」、「連携と共栄」をキーワードに、協働のまちづくりの推進や踏み込んだ行財政改革の断行、本市の将来都市像である「環日本海オアシス都市」の実現に向けた、周辺地域との連携強化による圏域の一体的な発展をめざした施策を進め、また、独自の子育て支援や義務教育施設の整備などに取り組んでまいりました。

 これからの四年間は、現在、策定作業を進めております「まちづくり総合プラン」に基づき、これまで実施してまいりました事業の一層の充実を図るとともに、新たな施策についても果断に取り組み、「魅力と活気にあふれ、心豊かに安心して暮らせる境港市」の構築を図ってまいります。

 折しも市制施行六十周年を迎えた本市では今、さらなる飛躍に向けた重要な事業が集中しており、それらを確固とした基盤のもと将来に道筋をつけることが、四期目の私の使命であると考えております。

 具体的には、公約に掲げた五つの重点施策として、

一.広域連携による一体的発展
二.全国ブランド「さかな」と「鬼太郎」を生かした経済振興
三.一人ひとりを大切にした教育と福祉の充実
四.安心で住みよい生活基盤の充実
五.市民との連携による誠実な行政運営

 に取り組んでまいります。 

一.広域連携による一体的発展について

 中海・宍道湖・大山圏域は、古くから地理的・歴史的につながり、豊かな自然と歴史を背景に山陰の中核的な圏域として発展してまいりました。人口六十万人を誇るこの圏域において、地域の活力を創出していくためには、それぞれが有する特徴的な資源や優位性を生かしながら連携した取り組みを一層進めて行くことが必要と考えております。

 その中でも、本市の有する「境港」と「米子鬼太郎空港」は、この圏域の共有財産として、一体的な発展につなげていくべき重要な社会基盤であります。
 そのためには、物流・人流拠点としての港湾機能の強化が不可欠であり、間もなく供用開始される中野地区国際物流ターミナルに続いて、今後、本格的な整備に着手される竹内南地区の貨客船ターミナルなどの早期完成に向けた取り組みを進めてまいります。
 また、環日本海定期貨客船の利用促進、クルーズ客船の誘致、さらには、国内RORO船の定期航路の開設など、利活用の促進に圏域全体で取り組むとともに、将来にわたり圏域の振興につながる重要な道路となる米子・境港間の高規格幹線道路の整備について、国の事業化に向け、道筋をつけたいと思っております。
 米子鬼太郎空港におきましても、間もなく就航する香港便とソウル便との共存を図りながら、山陰地方唯一の国際空港という特性を生かし、本市が、「北東アジアのみならず世界のゲートウェイ」として圏域の発展を牽引してまいります。

 また、中海・宍道湖・大山圏域市長会で策定しました「中海・宍道湖・大山圏域振興ビジョン」や圏域人口六十万人の維持を基本目標に掲げた「圏域版総合戦略」をもとに、「ひとつのまち」のように一体的な発展をめざす「真の地方創生」に引き続き取り組んでまいります。

 このほか、市民レベルの国際交流の促進、インバウンド観光の推進などにより、圏域の活性化を図ってまいります。

二.全国ブランド「さかな」と「鬼太郎」を生かした経済振興について

 累計入込客数が三千万人を突破し、全国的な知名度を誇る「水木しげるロード」と水揚げ日本一の「カニ」や「生マグロ」など、豊かな水産資源を誇る、本市の魅力を高めながら、引き続き「さかなと鬼太郎のまち境港」を積極的に情報発信してまいります。

 駅前ホテルの開業は、滞在型観光地への転換に向けた絶好の機会と捉えております。すでに取り組んでおりますロードの夜間演出をさらに充実させ、また、十年先、二十年先を見据えたロードの全面的なリニューアル事業に合わせて、地元商店街等による沿道の街並み整備を後押しすることで、さらなる魅力度を高め、将来にわたる本市の発展につなげてまいります。

 基幹産業である水産業におきましては、災害に強く、「安心・安全」を求める消費者ニーズに応え、魅力あふれる漁港・市場をめざした、高度衛生管理型漁港・市場整備の早期完成を県や水産業界の皆様とともに進めてまいります。

 水産と観光の連携による相乗効果を様々な産業に波及させるとともに、企業誘致と創業支援による雇用の創出や伝統的地域資源「伯州綿」のブランド化などに力を注ぎ、地域経済の振興を図ってまいります。

三.一人ひとりを大切にした教育と福祉の充実について

 次代を担う子どもたちに、「知・徳・体」のバランスのとれた「生きる力」と豊かな心をはぐくんでいくための道徳教育のほか、本市の特色を生かした、国際理解教育や英語教育の充実を図るなど、「一人一人を大切にした質の高い学校教育の推進」に努めてまいります。
 また、本市においても少子化の進行に伴い、児童・生徒数が減少する中で、地域の特性を考慮した、持続可能でより良い学校の在り方を検討し、小・中学校の適正規模・適正配置など教育環境の整備を進めてまいります。

 これまでも「子育てするなら境港」を標榜し、重点的に取り組んでまいりました子育て支援につきましては、本年度開設した、境港版ネウボラ「子育て世代包括支援センター」を中心に、妊娠期から子育て期にわたる様々なニーズに対応した総合的な相談支援体制のより一層の充実を図るなど、引き続き、安心して子どもを産み育てることができる環境整備を積極的に進めてまいります。

 また、高齢者や障がいのある方々などが、住み慣れた地域で安心して暮らすことができるように、関係機関との連携強化を図りながら、総合的に支援していくための地域包括ケア体制を構築してまいります。

 このほか、地産地消をはじめとする食育の推進や生涯学習の推進、地域の文化・歴史の継承、市民の健康づくりの推進などに
力を注いでまいりたいと考えております。

四.安心で住みよい生活基盤の充実について

 熊本地震等を教訓に災害対策として、日頃からの備えとともに、自助・共助の周知・啓発や自主防災組織の活性化、避難訓練の実施などにより防災意識の醸成と減災対策に努めてまいります。
 原子力防災対策につきましては、鳥取県、米子市と協調して、避難計画等の見直しや防災訓練を継続するとともに、市民の皆様や議会の意見を伺いながら対策を進めてまいります。

 また、市民会館に代わる複合施設の整備につきましては、災害時の防災拠点となる機能とともに、図書館機能を備え、日常的に多くの人が行きかい、集う、文化・芸術の拠点としてふさわしい施設となるよう、市民の皆様に情報提供を行いながら進めてまいります。

 渡漁港周辺整備につきましては、国による漁港の移設と堤防整備の完成を受け、今後、市が実施する旧漁港の埋立や多目的広場、内水排除施設の整備など一連の事業を進めてまいります。

 市街地の形成が進んでおります夕日ヶ丘地区につきましては、引き続き、定期借地権制度の周知に努めるとともに、さらなる商業施設の誘致など魅力度の向上に努め、夕日ヶ丘地区の大きな特色でもある若い世代を中心とした、活気あふれる街並み形成をさらに促進してまいります。

 また、生活道路の改修や狭隘道路の解消、空家対策、公共下水道の整備促進、荒廃農地の解消、公共施設の適正管理など快適な生活環境の整備、さらには、ごみの減量化・資源化を促進する施策を積極的に展開してまいりたいと考えております。

五.市民との連携による誠実な行政運営について

 これまでも「自分たちの住むまちは、自分たちで考え、自分たちで創り上げていく」、このことをまちづくりの原点として、「協働のまちづくり」を提唱してまいりました。引き続き、行政、自治会、市民活動団体、事業所などが、それぞれの立場を尊重し、果たすべき役割と責任を分担しながら、地域の課題を解決していくための対等なパートナーとして、様々な形で連携しながら、住みよいまちを創り上げていくための取り組みを進めてまいります。
 そのためにも、分かりやすく速やかな情報の提供と積極的な広聴に努め、市民に開かれた市政を進めてまいります。

 また、職員一人ひとりが常に改革の意識を持ち、市民サービスの改善や事務事業の効率化などに引き続き取り組み、自立持続可能な財政基盤を堅持するとともに、真に必要とされる市民ニーズや喫緊の課題に迅速に対応してまいります。


 以上、四期目の市政に臨む基本的な考え方を申し述べました。
議員並びに市民各位の一層のご理解とお力添えを賜りますよう、重ねてお願い申し上げ、私の所信の表明といたします。



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