市政概要報告要旨(平成26年9月10日)

平成二十六年九月定例市議会にあたり、市政の概要について申し上げます。 

環日本海交流について

 環日本海国際フェリーは、六月末で就航から五年が経過し、本年七月末までの境港発着の旅客数は約十二万八千人、貨物量は約三万五百トンとなりました。七月五日には国際旅客ターミナルにおいて、就航五周年を祝う記念式典が行われ、運航会社や山陰両県の関係者等が、一丸となり、さらなる利用促進に取り組むことを改めて確認いたしました。
 本年の航路の状況としましては、一月から七月末までに境港・東海間を二十八往復し、旅客数は、約一万二百人で、前年比六十八%の大幅な減となっております。四月に発生した韓国の旅客船沈没事故の影響により、利用客数が落ち込んだことによるものですが、七月下旬からの利用者数は前年並みに回復しております。一方、境港発着の貨物量は約三千四百トンで、前年比八十八%となっております。
 航路全体の貨物量につきましては、昨年三月に就航した韓国・束草とロシア・ザルビノを結ぶ競合航路の影響などにより、七月末現在で前年比八十三%に減少しておりますが、この競合航路が六月二十七日から運航を休止したため、東海・ウラジオストク間の貨物量は徐々に回復してきております。
 また、今月下旬に、ウラジオストク市において、中海・宍道湖・大山圏域市長会が物産展を開催し、圏域の物産品と観光のPRを行うとともに、事業者の販路開拓の支援を行います。

 八月に中国・図們市で開催された「第二十回環日本海拠点都市会議」では、「拠点都市間の新たな連携等」について意見交換を行い、都市間の協力関係のさらなる拡大、多角的貿易の促進、物流ネットワークの充実、国境を越えた観光業の促進等について合意したほか、来年度、本市での開催が決定いたしました。
 このほか、環日本海地域の交流を進めるうえで、中国東北部の海の玄関口として重要な意味を持つ北朝鮮の羅津港を視察し、図們江開発に係る物流ルートの状況を確認してまいりました。

 「米子―ソウル便」につきましては、山陰国際観光協議会による関係団体や民間交流団体への利用促進のほか、韓国メディアを通じた販売促進などにより、四月から七月までの搭乗実績が四十八・一%と、前年に比べて、一・八ポイントの増加となっております。

観光振興について

 「水木しげるロード」の観光入込客数は、八月末現在で百五十七万七千人と、出雲大社の遷宮効果のあった昨年に比べ八十%となっております。本年の目標である二百五十万人突破に向け、引き続き関係者の皆様とともに誘客に努めてまいります。また、夜間でも利用できる「水木しげるロードデジタル妖怪スタンプラリー」は、八月四日からアプリケーションの販売を始め、八月末現在で百九十六人の方々からご利用をいただいております。

 本年、境港に寄港したクルーズ客船は、当初の予定に比べ減少したものの、八月末現在で八回を数え、約七千人のお客様が、山陰両県の観光地などを訪れました。「境港クルーズ客船環境づくり会議」では、岸壁でのおもてなしの新たな試みとして、自動両替機の試験設置やWi・fi(ワイファイ)の無料接続、浴衣姿での出迎えなどを実施し、おもてなしの充実を図っているところです。

 米子鬼太郎空港におきましては、昨年十二月に就航したスカイマーク社の神戸、成田、茨城への三路線に加え、四月から羽田、北海道・新千歳、沖縄・那覇への三路線が就航しておりましたが、十月二十六日から来年三月末までの冬ダイヤにおいて、成田便が運休となり、羽田便と新千歳便が神戸空港での乗継便に再編されました。
引き続き、鳥取県など関係者とともに、来年の夏ダイヤでの直行便の運航再開に向け、既存路線の利用促進等に努めてまいりたいと考えております。

 また、昨年に続き、七月から八月にかけて、香港からのチャーター便が合計十八回運航され、約二千三百人のお客様が、「米子鬼太郎空港」を訪れました。 
すべてのツアーコースに「水木しげるロードの観光」と「鬼太郎列車への乗車」が組み込まれており、この期間中は、鳥取県、境港市観光協会と協力し、キャラクターの着ぐるみによる空港でのお出迎え、列車のサプライズ乗車といった境港らしいおもてなしを実施し、本市の魅力を大いにPRしたところであります。

水産業について

 平成二十六年上半期の境漁港における水揚量は、カタクチイワシが豊漁であったもののマイワシの水揚量が前年水揚量の一割にも満たなかったことから全体の水揚げ量は五万九千トン余で、対前年比九十二%にとどまっております。  
しかしながら、水揚金額では、クロマグロの豊漁等により百一億九千万円余で対前年比百十七%と前年を上回っております。

 「育てる漁業」として、一昨年から美保湾で行われているギンザケ養殖につきましては、対前年比四十%増となる六百六十七トンが出荷されました。この「境港サーモン」が、水揚げ量日本一を誇るカニとクロマグロに加え、新たな本市の名産品となることを期待しているところであります。
 また、ヒラメの放流につきましては、昨年度までの試験放流を経て十二年ぶりとなる本格放流が再開され、四月に日野川沖と境港公共マリーナ沖合わせて三万尾の稚魚の放流が行われたところです。

 水産加工品のブランド発信対策につきましては、第二回境港市水産加工大賞を受賞した「グラタンコロッケ」が境港代表として、七月に尾道市で開催された「第五回みなとオアシスSea級グルメ全国大会」に参加し、準優勝に選ばれ、境港の食が全国に認められるとともに、大きな発信効果が得られたところです。

 境漁港整備につきましては、国の直轄事業として進められていた、「高度衛生管理基本計画」及び「特定漁港漁場整備事業計画」が、今月公表されると伺っており、今後、鳥取県が岸壁の詳細設計や市場整備に係る基本設計に着手する予定であります。

農業について

 本市特産の白ねぎの栽培につきましては、「弓浜農業未来づくりプロジェクト事業」を活用し、二十戸の農家が栽培面積の拡大や品質の向上に取り組んでおられます。

 伯州綿の栽培につきましては、境港市農業公社が一・四ヘクタール、栽培サポーター百二人が〇・六ヘクタール、合計で約二ヘクタールを栽培しており、これまでのところおおむね順調に生育しております。今月からは、収穫作業が始まり、来年の二月までに、千二百キログラムの収穫を見込んでいるところであります。
 六月七日に開催された鳥取県知事と境港市の伯州綿に関わる方々との意見交換会では、伯州綿を伝統的な地域資源として認識し、地域の活性化に活かしていくことをあらためて確認したところであります。


商工業について

 JR境港駅前ホテルにつきましては、温泉掘削工事に引き続き、九月三日、地鎮祭が行われ、本格的にホテルの建築工事が始まったところであります。
 なお、竣工は、平成二十七年十一月が予定されております。

 企業誘致につきましては、平林金属株式会社及び有限会社海老田金属が、中野地区国際物流ターミナルに隣接する工業用地に、鉄・非鉄金属等のリサイクル工場を建設し、両事業者が連携してリサイクル事業を実施されることとなりました。八月八日には、知事公邸におきまして、両事業者と鳥取県及び本市の四者で協定を締結したところであります。

 また、広域連携による取り組みにつきましては、中海・宍道湖・大山圏域の自治体、商工団体で構成する「ものづくり連携事業実行委員会」が、本年四月から、圏域内企業の連携や交流の促進を図ることを目的に、インターネットにおいて「中海・宍道湖・大山圏域ものづくりネット」の運用を開始したほか、本年七月より新規大学卒業予定者の就職を支援するサイト「中海圏域就職ナビ」を中海四市共同で開設し、地元への就職並びに圏域への定住促進に連携して取り組んでおります。
 今後、より多くの企業に登録いただくために、積極的な企業訪問を行ってまいりたいと考えております。

水木しげるロードのリニューアルについて

 水木しげるロードリニューアル事業につきましては、今月一日に、東京大学と委託契約を締結し、基本構想に続き基本計画の策定を、同大学の堀繁教授にご協力をいただくこととなりました。現在、堀教授には、道路に関する基本設計の原案の作成を進めていただいております。
 また、今月二日には、「水木しげるロードリニューアル基本計画・基本設計検討委員会」の第一回目の会議を開催し、事業の基本方針や進め方などについて、ご了承をいただいたところであります。本年度中に基本設計を完成し、来年度には、詳細設計と一部工事の着工を目指してまいります。

中海護岸整備について

 国において整備が進められている渡漁港の移設工事につきましては、順調に進捗が図られており、平成二十七年度の早い時期に完成する予定と伺っております。
 また、この事業に合わせて、本市が取り組んでいる渡漁港周辺の内水排除施設の建設、災害時避難用の道路整備につきましては、渡漁港移設工事が進捗したことを受け、現在、工事発注に向けた準備を行っているところであります。

 外江貯木場の護岸工事につきましては、開口部の締切工事を進めるための準備段階として、隣接する木材加工工場からの排水処理施設の建設に向けた作業が進められており、この施設が完成した後に護岸の本体工事に着手されると伺っております。

基地対策について

 航空自衛隊美保基地における次期輸送機C2への機種変更につきましては、七月に防衛省中国四国防衛局から開発期間の延長に伴い、本年度に予定されていた配備計画を平成二十八年度に延期するとの報告がありました。
 市民の安全・安心な暮らしの確保を最優先に、新機種の安全対策はもとより、航空機の安全運航と周辺環境への配慮を強く要望してまいります。

道路・橋りょう等の整備について

 生活関連道路等の整備工事発注状況につきましては、道路改良工事のほか、道路維持修繕工事、通学路・交通安全施設工事など含め、九月末で当初予算の約七十%の発注を見込んでおります。残る工事につきましても早期発注に努め、各事業の一層の進捗を図ってまいります。

 既存施設の維持点検の対策が求められる中、本市の橋りょう施設につきましては、橋長が十五メートルを超える弓浜北橋、同南橋の改修工事を本年度中に完了することとしております。橋長二メートル以上、十五メートル未満の橋りょう百四十箇所については、本年度中に調査を行い、来年度より、改修の必要性に応じて順次、計画的に工事を行ってまいりたいと考えております。

 街路・防犯灯のLED照明への切り替えにつきましては、現在、設計作業を行うとともに、最終現地確認作業や電力会社等の関係機関との協議を行っており、十月中を目途に工事に着手する予定としております。
 合わせて通学路の安全対策として、市内各小学校から要請のあった学校周辺の通学路に、六十二基の街路・防犯灯を本年度中に新設することとしております。

夕日ヶ丘団地の市街化促進について

 消費税率引き上げに伴い全国的に住宅着工件数が落ち込む中、夕日ケ丘団地につきましても、八月末現在の定期借地契約は八件と、これまでで最高の契約件数であった昨年同期の十三件と比べ伸び悩んでおります。 
 しかしながら商談中の案件は十四件を数え、子育て世代を中心にこの制度に対する関心の高さをあらためて感じているところであります。

 市民スポーツ広場南側の堆肥工場跡地に、この春、夕日ヶ丘メモリアルパークが完成いたしました。住環境の改善に加え、広々とした芝生広場を子供たちが元気よく走り回る光景を目にし、たいへん喜ばしく感じております。
 併設する墓地につきましては、七月に焼骨のない方も対象として使用者の募集を行い、予想を上回る六十五名の方から応募をいただいたところであります。 
 その後も、次回募集に関するお問い合わせをいただいていることなどから、年内に第二回目の募集を行いたいと考えております。

 また、国に要望しておりますメモリアルパーク西側の親水護岸整備につきましては、事業実施に向けた「かわまちづくり計画」の策定に取り組んでいるところであります。

防災対策について

 原子力災害対策につきましては、本年三月に修正した広域住民避難計画の周知を図るため、七月中旬から八月上旬にかけて、各地区の公民館で住民説明会を開催し、三百六十八人のご参加をいただきました。説明会では、計画修正のポイントである段階的避難の重要性などについて説明を行ったところです。

 また、この説明会に併せて本市が要請を行っておりました、島根原発の安全対策や原子力規制委員会の審査状況等の説明会を中国電力に行っていただいたところです。
 引き続き、自治会、自主防災組織等を対象に広域住民避難計画の説明会を行い、周知を図ってまいりたいと考えております。

 さらに、来月十八日には、鳥取、島根二県六市による原子力災害を想定した住民避難訓練を実施いたします。
 今回は、各地区から二十名程度の住民の参加をいただく計画で、実態に即したスクリーニングの実施や、昨年に引き続きJR・船舶等多様な避難手段の検証を重点に実施することとしており、訓練を通じてより計画の実効性を高めてまいりたいと考えております。

 津波対策につきましては、先月末、国の「日本海における大規模地震に関する調査検討会」が開催され、日本海側各市町村における海岸での最大津波高等が公表されました。その中で本市の最大津波高は二・二メートルとなっており、平成二十三年度鳥取県が作成した暫定津波浸水予測に比べ低くなっておりますが、今後はこの両者の取り扱いについて、鳥取県と協議しながら津波対策を検討したいと考えております。

 本年度、防衛省の補助事業である「まちづくり構想策定支援事業」の採択を受けました。この事業は、「防衛施設が存在するという地域の特徴を活用し、自衛隊員と防衛施設の周辺住民との文化の交流又は地域における防災等のための活動の促進を目的としたまちづくり」などを支援する事業で、今月中に構想策定のための「まちづくり計画検討委員会」を設置し、その中で防災拠点施設の整備とあわせて市民会館やその他交流施設の機能の併設についても検討し、本年度中に基本構想を取りまとめることとしております。

 自衛隊の大型輸送ヘリコプターにつきましては、昨年末、国の中期防衛力整備計画の中で、美保基地へ新たに配備されることが計画されたところでありますが、この度、国の平成二十七年度概算要求に格納庫の測量調査費及び建築設計費等が計上されたと伺っております。


ごみ行政について

 本年十一月から実施を予定しております軟質プラスチック類の分別収集等につきましては、七月中旬から九月上旬にかけて住民説明会を延べ六十回開催し、多くの市民の方にご参加いただきました。
 説明会では、平成二十八年度から米子市に処理委託することとなる可燃ごみの、さらなる減量化と資源化を促進するため、新たに分別していただくごみを具体的にお示しするとともに、衣類・布類の直接搬入料金の引き下げ、さらには生ごみリサイクルグループへの参加の呼びかけなど、ごみ行政への理解を深めていただく機会になったものと思っております。

教育施設整備と社会教育について

 教育施設整備につきましては、学校給食センター新設事業、第二中学校外構等工事、幸神町体育館改修事業及び市民体育館耐震診断事業の発注を終え、年度内の完成に向けて鋭意事業を進めているところであります。

 また、市民会館ホールにつきましては、今後、防衛省の補助事業採択を受けて進める「まちづくり構想策定」のための「まちづくり計画検討委員会」で示される基本構想を踏まえながら、検討してまいりたいと考えております。

 一方、社会教育につきましては、この度、各公民館においてホームページを作成・公開いたしました。これまでの公民館報に加え、ホームページを活用した積極的な情報発信により、活気あふれる公民館づくりに努めてまいります。

 開館二十周年を迎えた文化ホールでは、シンフォニー少年少女合唱団出身の徳山奈奈さんによるコンサートを七月十三日に開催いたしました。このまちから生まれた若手声楽家のステージは、市民をはじめ多くの音楽愛好家で満員となる盛況でありました。

 また、海とくらしの史料館におきましても、開館二十周年を記念した、「魚食パネル展」を七月に開催いたしましたが、さらに十月には海や魚を題材とした「古徳博美写真展」を開催することとしております。

子育て支援について

 待機児童を解消し、幼児教育や保育、子育て支援の拡充を図ることを目的に来年四月から導入される「子ども・子育て支援新制度」へのスムーズな移行に向けて、三月末に「境港市子ども・子育て会議」を立ち上げ、これまで協議を重ねております。
 この会議では、地域の需要をくみ取り、教育・保育の提供体制の確保と実施時期や各種基準などの検討を行い、その上で新たな保育所・幼稚園制度の円滑な実施に向け、平成二十七年度から向こう五年間の「子ども・子育て支援事業計画」を年内に取りまとめることとしております。


障がい者福祉について

 平成二十六年度の「全国障がい者芸術・文化祭」が、七月十二日から鳥取県内を会場に始まりました。
 この祭典は、障がい者の芸術・文化活動への参加を通じて、国民の障がいへの理解と認識を深め、障がい者の自立と社会参加の促進に寄与することを目的として、毎年開催されているもので、本市におきましても、関連事業として、米子鬼太郎空港を会場に、七月十九日から二十一日までの間、さかいみなとアートフェスタ「ほっとはあと」を開催いたしました。
障がいのある方の絵画・工芸・書の作品展示をはじめ、障がい福祉事業所による物品販売などを実施いたしました。三日間で約五百人の来場者があり、共生社会の実現への理解を深めていただく機会となったものと考えております。

高齢者福祉について

 平成二十七年度からの三年間を事業期間とする「第六期高齢者福祉計画・介護保険事業計画」の策定に向け、七月三十一日に第一回目の計画策定委員会を開催したところであります。
 今後は、介護保険制度の改正内容を踏まえつつ、本年実施した日常生活圏域ニーズ調査の分析結果をもとに、必要なサービス量とそれに見合う介護保険料のバランスにも十分配慮しながら、計画策定を進めてまいります。 
 また、団塊の世代が七十五歳以上となる二〇二五年の状況を見据え、中長期的な視点に立ったサービスや保険料水準の見通し、医療・生活支援サービスなどが一体的に提供される「地域包括ケア体制」の充実などについても協議し、来年二月を目途に計画を取りまとめることとしております。

市民の健康づくりについて

 本市は、がんの罹患率及び死亡率が全国平均と比べ高く、がんを早期に発見するための検診の受診率向上が喫緊の課題となっております。
 そのため、八月からのがん検診実施にあわせ個人負担金の大幅な引き下げを行うとともに、子宮がん・乳がん検診の広域化や休日検診等を導入し、受診しやすい環境整備を行いました。
 また、六月から七月にかけて開催したがん予防の啓発イベント「とりだい病院境港メディカルセミナー」には三回の講演に延べ七百人近くの市民の方々にご参加をいただきました。境港医師協会と連携し、各地域で開催する講演会も八月三十一日からスタートしたところであります。加えて、今年度は特に企業に対し、がん検診の受診を積極的に働きかけるなど、受診率の向上に向け全力で取り組んでまいります。

 以上、市政の概要についてご報告申し上げましたが、議員並びに市民各位の格段のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。



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